一定期間更新がないため広告を表示しています
━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
草の葉に 風は吹かねど なよなよと
紅ゆるる 水引のはな (土屋文明)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
気温もやっと秋らしくなり
秋の日差しになってきました。
道端の雑草とも言われている「みずひき(水引)」。
夏の終わりごろから開花して
秋の気配を感じさせてくれます。
「みずひきそう(水引草)」とも呼ばれています。
漢名は「金線草」です。
長い茎状に細長い花軸から、
細かな赤い花を、穂状につけます。
4弁の本当に小さな花びらは、萼です。
3弁が赤く
下の1弁が白くなっています。
上から見ると赤い花ですが、
下から見ると白い花に見えます。
それが、祝儀袋などにかける“水引”に譬えて
「みずひき(水引)」と呼ばれるようです。
花の色で
白花は“銀水引”
紅白混じったものは“御所水引”といわれます。
この植物は雑草ともいわれてますから
繁殖力は旺盛です。
一度根づくと、
毎年秋の訪れと共に小さな花を咲かせます。
今回の歌は
秋の静かな風景のなかで
「みずひき(水引)」の小さな紅が
風も吹いていないのに
かすかに揺れていると詠っています。
秋の澄んだ空気のなかで
道端をに咲く「みずひき(水引)」は
秋の情景に合う花です。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
くれないの 水引草に 赤とんぼ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
応援ありがとうございます!
にほんブログ村★応援ありがとう!
━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
秋風は 涼しくなりぬ 馬並(な)めて
いざ野に行かな 萩の花見に (万葉集)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「はぎ(萩)」は秋の七草の一種。
秋風とともに、やっとちらほら咲きだしました。
万葉の時代、「はぎ」は、
秋に古株を刈ってしまっても
春になると芽を出し生えてくることから
「はえぎ(生え芽)」とよばれていました。
万葉集では、「芽」「芽子」の字が使われています。
秋の気配を、感じさせた花だったのでしょうか。
この「はぎ」は、
万葉集に詠われている草木の中でも
一番多く詠われている花。
現在は、「はぎ」を表す漢字は「萩」です。
草冠に秋で、「はぎ(萩)」と読みます。
国字とされています。
漢名は“こしか(胡枝花)”
中国では、日本のように鑑賞されていません。
万葉集で詠まれた「はぎ(萩)」は
“やまはぎ”とされています。
今までの暑い夏から
涼しい秋風がふくようになり
山野をやっと色づかせた秋の花だったのかもしれません。
そして、花が終わったあとの「はぎ(萩)」は
屋根や垣根に使ったり、食用にもなり
人々の生活に欠かすことのできない植物だったのです。
今回の歌は
季節が変わり気候も良くなり
「はぎ(萩)」の花の咲いたのを愛でる気持を詠っています。
今年の猛暑の暑さから
秋風が心地よく感じるようになると
風にさわめいている
「はぎ(萩)」の花が、いち早く秋を感じさせます。
秋風に揺れる萩の花の
お花見に出かけてみませんか。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
萩の花 そよふく風に 秋の声
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
応援ありがとうございます!
にほんブログ村★応援ありがとう!
━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
仙人の 鬘ならなく 花白し (一水)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雨が少ない今年の関東です。
乾燥しているせいか
夏の枯葉が目立つ林の中で
真っ白なベールに包まれたような一角がありました。
遠くから見ると
なんじゃもんじゃを思わせるように、一帯が白くなっています。
近づいてみると
この季節には、めずらしい花付きで
周りの木の上を、白い花で覆っていました。
帰宅して、花の名前を調べました。
花の雰囲気から、思いも浮かばない
「仙人草(せんにんそう)」でした。
この「仙人草(せんにんそう)」は、蔓性ですから
もくもくと木の頂上まで蔓を這わせ
緑の上を白く縁取っています。
白くて繊細なこの花。
花びらと思う十字の4弁は、
萼が、花びら化しています。
花びらがない「仙人草(せんにんそう)」です。
花が終わったあとに
雄しべの花柱が伸びて、それに密生して白く長い毛が出てくるそうです。
その白くて長い毛が、“仙人”の白髪頭や髭を連想させるから
「仙人草(せんにんそう)」なんだとか。
今回の歌、花の名前とは思いもかけないような白い花と詠んでいます。
この花のなまえの由来を確認する為に、
花が終わったあとに、伸びる白い髭。
“仙人”の髭を 是非見に行きたいとおもいます。
この「仙人草(せんにんそう)」は、有毒植物なのだそうです。
茎葉を噛むと、歯がこぼれてしまうところから
“歯こぼれ草”“歯かけ草”という別名も。
また、汁が皮膚に触れると、湿疹や水ぶくれを起こします。
ちょっと気をつけなくてはいけません。
この成分が薬効にもなっていて、漢方等に使われています。
初夏を思わせる花ですが
この花が満開になると、秋も深まっていくようです。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
巻きつけて あてなくのびる 仙人草
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
応援ありがとうございます!
にほんブログ村★応援ありがとう!
━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
わが家の はひりにからむ 糸瓜蔓
果(み)となる花は 大きく咲けり (鹿児島 寿蔵)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
秋を迎える今、夏の畑を思い起こさせるように
咲いているウリ科の「へちま(糸瓜)」。
「へちま(糸瓜)」の花は、元気に大きな花を咲かせています。
この暑さでも、次々と元気に咲く花の下で
果実も大きくなっています。
この「へちま」、江戸時代に渡来しました。
「へちま(糸瓜)」の果肉のなかは、繊維質です。
その繊維質から、“糸瓜(いとうり)”と呼ばれていました。
“いとうり”の“い”が抜けて
“とうり”と呼ばれるようになります。
“とうり”の“と”は
イロハニホヘトチリ…の並びの
“へ”“チ”の間なので
“へち間”になったと云われています。
ちょっと、落語を聞いているような由来になっています。
沖縄では、“なべら”と呼ばれています。
これは、“なべあらい(鍋洗い)”に由来すると云う説もあります。
こんなに名前が変化するのは
それだけ私達の生活によく使われてきた植物
ともいえる証なのかもしれません。
若い果実は、食用にされ
大きくなった果実の果肉には
網目状の強靭な繊維があり、この繊維を取って、
へちま製のたわしが作られていました。
昔は、このへちま製のたわしを垢すりとして愛用していました。
「へちま」の垢すりを見るたびに思うのは、
子供の頃、祖母と入るお風呂です。
へちまの垢すりで、
しっかり背中を流された思いがあります。
背中は、赤くなってちょっと滲みるようなヒリヒリ感。
負けずに、祖母の背中を垢すりでゴシゴシと…
子供の頃は、大人と一緒に入ると
いつも背中をゴシゴシと流しあっていた記憶があります。
背中を流され、流してましたが
ここのところそんな経験がなくなっています。
その他に、「へちま」から採れる“へちま水”は
古来から、肌をすべすべにする化粧水でした。
今でも愛用されている方も多いのではないでしょうか。
また、痰をきる咳止め薬としても使われていました。
正岡子規絶筆となった俳句にも
「痰一寸 糸瓜の水も 間に合はず」と詠まれています。
俳句に「へちま」が描写されている事から
正岡子規の命日は「へちま忌」と呼ばれています。
今でも、あちらこちらの生け垣に
へちまを育てている家庭も多く見られます。
門を入ると、「へちま」の蔓が絡み
大きな黄色い花を咲かせている様子を詠っている今回の歌です。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
炎天の 長月に咲く 糸瓜花
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
応援ありがとうございます!
にほんブログ村★応援ありがとう!