野花や草木の散歩道で一句

道端の野花、そして草や木。
どこにでも咲いている道端の可憐なお花。
古の歌から生い立ちを辿り、草木たちの古を思い浮かべながら
草花や木々を眺めてみませんか。
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「つくし(土筆)」誰の子、すぎなの子
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 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



  いづこにも まづ春さきの こほしきは



   土筆の萌ゆる  土とぞおもふ(土田 耕平)



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春の陽射しの暖かさとはいえない
冷たい寒気が感じられる関東です。



それでも、春の陽気を浴びようとむくむくと
頭をもたげている「つくし(土筆)」。
むくむくと頭をもたげるつくづくし

小さな頃、「つくし誰の子、スギナの子」なんて言いながら
「つくし(土筆)」摘みした思い出があります。



良く考えると、
つくしの胞子から繁殖し、スギナが出てきますから
「つくし(土筆)」はスギナの子ではなく、スギナの親ですね。



この「つくし(土筆)」は
源氏物語などででてくる古名は「つくづくし」です。
そして「つくづくし」が簡略化されて
今の「つくし」となったといわれています。



暖かくなって、外に出て
「つくし(土筆)」を見つけるのはうれしいものでした。
摘んだつくしで、良く遊びました。
はかまの所の茎をぬいて、また元通りに挿して



“つくつくぼうし、つくぼうし
どこ継いだか あててみろ…”と遊びました。



丈夫そうな太いつくしは、継いでも揺るぎもしませんでしたから
なかなか見つからなかったものでした。



春先に「つくし(土筆)」がぽこぽこと地上に出てきて
子どもたちの遊びの中から
古名の「つくづくし」と呼ばれてきたのでしょうか。
源氏の世界から子どもたちは
春になって、野原に行って摘んで遊んできたのでしょう。



ですから「つくづくし」が年代を経て
その地方ごとに多くの呼び名がつけられきました。
「ツギクサ」
「ツギツギボウズ」
「ジキジキボウズ」
「ドコドコボウズ」
「ドコドコツナギ」
どれも、子どもの遊びの中から呼ばれてきた名前になっているようです。



坊主頭が、春の陽を浴びてむっくり出てくる姿を
みんなが待ち望んで、摘んだりして
大いに遊んだのでしょう。



この「つくし(土筆)」の時期は短くて
その後、スギナが地面を緑に変えていきます。



今回の歌は
土筆が出てくる春ををまっている様子を詠んでいます。



「つくし(土筆)」は、山菜としていろいろ調理されているようです。
今年は、初めて天ぷらにして見ましたが
坊主頭のほろ苦さが感じられませんでした。
我が家では、土筆の卵とじが人気です。



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



   
   春の土手 花を眺むるより 土筆摘む
 



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| | 16:02 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「馬酔木(あしび)」は、最古の造園植物
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 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  池水に 影さへ見えて 咲きにほふ


  馬酔木の花を  袖に扱入(こき)れな(大伴 家持)


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朝と昼の時間が同じくなる春分。
春分の日は、太陽が真東から昇り真西に沈みます。
春分の日の前後三ヶ間が、「彼岸」と言われています。


西の彼方に、極楽浄土があると
古の時代から言われてきました。


春分の太陽が真西に沈むこの時期に
先祖の霊を供養が行われるようになりました。


春分を境にして
昼の方が長くなっていきます。


大気も一日ごとに春色に変わるようです。
垣根にすずらんに似たピンクの花が揺れています。

咲きそろう馬酔木花


牛馬がこの葉を食べると、麻痺するということで
「馬酔木(あしび)」と名前がつけられています。
茎や葉に有毒成分が含まれています。


万葉時代を代表する植物です。
古では「馬酔木(あしび)」とよばれていますが
現在では、“あせび”となっています。



春霞がたなびいて、春の息吹を感じるころに
この花も野山に咲きだします。


この「馬酔木(あしび)」、大和地方に多く自生していたようで、
大和の野山を彩ったのは、“あしびの花”だったようです。


今回の歌は、庭園を眺めながらの歌
庭園の池に映る「馬酔木(あしび)」の花を
袖に入れてしまいたいと詠んでいます。


最古の造園植物として
万葉の頃から使われていた「馬酔木(あしび)」。


現在も、早春に咲く可憐な花として
庭木として人気があります。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
   春霞 小さき房垂れ 馬酔木花
 


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| | 17:28 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「辛夷(コブシ)」は春の到来を告げる木
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 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  すがすがと したる辛夷に ちかづけば


    暖き日に  にほふその花  (佐藤佐太郎)


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「辛夷(コブシ)」咲くあの丘 北国の ああ 北国の春 と唄われている
春の到来を告げる「辛夷(コブシ)」


冬の長い北国では、待ち焦がれていた春。
雪が消えた大地。
そして空を見上げると
大きな雪の花が咲いたような「辛夷(コブシ)」の大木。

花弁揺れる辛夷


啓蟄が過ぎて
春の下に二つの虫が「蠢(うごめ)く」春。
まさに、季節は春に向って動き始める時に
「辛夷(こぶし)」の花が咲きはじめます。


「辛夷(こぶし)」は北海道から九州まで自生してる落葉高木。
日本に自生している木です。


牧野富太郎博士の著書によると
中国から伝来された「モクレン」を中国では「辛夷」と呼ぶ。
「辛夷」は、中国特産植物専用の中国名の漢名であるから
中国にない“こぶし”は「辛夷」ではないと書かれています。


もともと、漢名で書く「辛夷」は“モクレン”を指しますが、
いつの頃からか、“コブシ”は、「辛夷」になっています。



農家の庭先には、必ず「辛夷(こぶし)」の木が植えられています。
「辛夷(こぶし)」の花が咲くと
農家の人たちは、田起こしや苗代作りの準備を始めます。


暖かい陽気になって、青い空を見上げると
白い「辛夷(こぶし)」の花が風に揺れるようになると
もう冬には後戻りしないとされました。


そのため「辛夷(こぶし)」は
「種まき桜」・「田植え桜」・「苗代桜」などとも呼ばれています。


北国の人にとっては
芽吹きや開花で農作業を行ってきた
生活に密着した木なのです。


今は、街路樹でも植えられるようになっているようです。
暖かくなった春の陽気の中で
「辛夷(こぶし)」の花の香りが漂ってきます。
今回の歌はそんな情景を詠っています。


まだ朝晩は、冷え込みますが
ちょっとウォーキングの足を延ばす
季節になってきています。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  青き空  花びらほぐれ  白辛夷 
 


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| | 16:26 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「蕗の薹」は「蕗(ふき)」の蕾
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  蕗薹 ちさきを択りて 摘みとりぬ


  爪にはさまる  土の冷たさ (岡 麓)


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いつもの年なら、
「蕗の薹(ふきのとう)」も沢山出ているのに
今年は、立春過ぎてからも寒い日のせいでしょうか
やっと蕾が大きく開き始めています。


春に先立つ「蕗の薹」。
霜で凍てついた地面から
淡緑の「蕗の薹」が頭をもたげてくると
冷たい風も、少し緩んで春を感じさせます。
蕾が開く、蕗の薹

凍てつく地面に頭をもたげた
淡緑の蕾の中から
萌黄色の花穂が姿をあらわします。


「蕗の薹」は、正しくは
「蕗(ふき)」の蕾です。


古代から、
冬季の野菜の少なかった時に
春の到来を告げる貴重な新鮮野菜だったのです。


冬眠から目覚めたヒグマが
一番最初に口にするのが「蕗の薹」だと言います。
春のエネルギーで、体を満たすのでしょうか。
エゾシカも好物だそうです。


春一番の萌黄色の「蕗の薹」のほろ苦さは
春を感じさせ、精気を蘇らせてくれる山菜です。


「蕗の薹」は天麩羅や蕗味噌など美味しいですが
細かく刻んで味噌汁に放すと
山菜特有のほろ苦い味覚の、早春の味を楽しめます。


春を告げる「蕗の薹」
暖かくなるにつれ大きくなると
上の方から、花が開いてきます。


すっかり茎がのびてしまうと
「とう」がたったと見向きもされなくなります。
これを「蕗のしゅうとめ」と…


「蕗の薹」は雄花の株と雌花の株が別です。


黄色い花粉で黄味を帯びる雄花。
白い花の雌花。
蕗の花が開いてみなければわかりません。
品種によっては、雌雄どちらかの株だけのものもあります。


花の後に伸びる葉柄。
これが店先に並ぶ「蕗」です。


現在、栽培され売られている長い葉柄の「蕗」は
雄株ばかりの品種です。
種子が全くできないこの品種は
明治の中ごろ、愛知県知多地方で発見され全国に広がりました。


「蕗」は、数少ない日本原産の野菜の一種です。
南の沖縄から北海道まで広い地域に栽培されている野菜です。


いつごろから栽培されていたのかはわかりませんが
平安時代の「延喜式」には、
相模国や武蔵国から、宮中に献上されたと書かれています。
しかし、万葉集には詠まれていません。


江戸時代には京阪神地方で作られていたと
貝原益軒の「菜譜」に見られます。


北海道や北の地方で栽培されている「蕗」は
葉柄が2メートルにもなり、葉の直径も1メートルと大きなものです。


この時期、春の陽射しを受けて
草むらの中に「蕗の薹」を見つける事ができるかもしれません。


今回の歌は
地面に出てきた、春を告げる小さな「蕗の薹」。
春を待ちわびながら摘み取っている様子が伺えます。



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  日だまりの 枯葉のなかから ふきのとう  
 


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| 初春 | 17:47 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |


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