野花や草木の散歩道で一句

道端の野花、そして草や木。
どこにでも咲いている道端の可憐なお花。
古の歌から生い立ちを辿り、草木たちの古を思い浮かべながら
草花や木々を眺めてみませんか。
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福寿草は春を知らせる花
JUGEMテーマ:野花と草木を詠う

 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  福寿草 影三寸の 日向哉 (正岡 子規)


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先日の暖かさで
むっくり土の中から顔を出した“福寿草(ふくじゅそう)”
春に先駆けて土の中から花開きます。
暖かな日差しの中で咲く福寿草

“福”と“寿”と
めでたい名前の“福寿草(ふくじゅそう)”は、
正月の頃に咲いた花だからと言われています。


正月というのは、旧暦の正月のことです。
ですから、普通は2月ごろに咲いていたのでしょう。


土の中からの太い茎から出る花は
太陽の陽に向って、黄金色の花びらが大きく開きます。
光にも敏感な花で
陽射しがなくなると閉じてしまいます。
ですから、夕方には花は閉じています。



アイヌ神話では、この花は、女神クノンの化身とされています。
“福寿草(ふくじゅそう)”の花が咲くと
春の魚の“イトウ”が到来します。
春を知らせる花として、
黄色の“福寿草(ふくじゅそう)”の開花に
待ち焦がれていた春の訪れを喜んでいたのでしょう。


江戸時代の頃から新年の飾りとして、
松竹梅と共に飾られてきた“福寿草(ふくじゅそう)”です。
“元日草”とも言うと
江戸時代の俳諧の入門書「毛吹草(けふきぐさ)」1638年にもでています。


現在正月用で売られているのは
秋に出来た花芽を移植してハウス栽培されたものです。


東北の地方の方言の中に
“ツチマンサク”という言葉があります。
“マンサク”は、まず咲く ということ。
地面から花が顔を出すという事から
“ツチマンサク”と言われています。


太陽に向かって、精一杯花開いて可愛い花ですが
有毒な物質を含んでいますから
取り扱いには注意してくださいね。


今回の歌は、
NHKドラマ「坂の上の雲」で
身近に感じるようになった、正岡子規の句です。


肺結核を患っていて、
まだ、元気だった頃でしょうか。
ほんの少しの陽射しを見つけて咲く福寿草を詠っています。


それにしても、冬から春に向けて咲く花は、
どうして黄色い花が多いのだろうと
何時もこの季節になると考えています。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
   空青く 陽を抱え咲く 福寿草 
 


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| 初春 | 17:41 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「ロウバイ(蝋梅)」は、早春一番開花
JUGEMテーマ:野花と草木を詠う

 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  しらじらと 障子を透かす 冬の日や


   室(へや)に人なく  蝋梅の花 (窪田 空穂)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
年末から年明けにかけて
春を待ちわびているかのごとく咲きだすのが
黄色い「ロウバイ(蝋梅)」


早春に一番先に咲き揃う「ロウバイ(蝋梅)」は
黄色のちょっと透けた花弁が
まるで蝋細工のようです。
可憐な蝋梅の花

枯れた木の中に彩りをとり戻すかのようにつぼみが開いていく中
その花の香気は
これから来る春の予感を感じさせるようです。


ちょっと透き通った、可憐な花弁からは
思いもかけないような香りが存在感を漂わせます。


江戸時代の「花壇綱目」の
「梅珍花異名の言」の中に梅の仲間として
「ロウバイ」も紹介されています。
しかし、梅のなどの“バラ科”ではなく“ロウバイ科”です。
ですから、梅とは別の種類です。

冬空に開花する蝋梅

中国原産のためか、「唐梅」とも呼ばれていました。


「ロウバイ(蝋梅)」の名前の由来は、
透明感のある梅に似た蝋細工のような花からという説。
陰暦の12月(臘月)に咲く梅に似た花であるからという説があります。


花やつぼみから抽出した蝋梅油は、薬や香料として使用されています。

関東で賑わっている蝋梅園です。

群馬県安中市のロウバイの郷

埼玉県長瀞宝登山ろうばい園


冬空に黄色い花を開いて春の香りを漂わせています。
年の初めのお花見散歩は雪交じりかもしれませんが…。


今回の歌は
人気のない部屋に、
障子越しに冬の陽射しが白々とさしこんで
蝋梅の黄色の花の香りがただよっていると。
春を待つ、静かな情景が目に浮かぶようです。



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  日だまりの 蝋梅の香り 鳥の声
 


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| 初春 | 17:20 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
南天(なんてん)は縁起の良い植物
JUGEMテーマ:野花と草木を詠う

 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  南天の 実のくれなゐに 色させば


  日ごとに霜は  深くなりたり (尾山篤二郎)



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寒さが本格的になってくると
木々についていた赤い実が、視界から無くなっていきます。


別に落ちているわけではなく
餌のなくなった鳥たちの餌になっているのでしょう。


ここ関東あたりでは、
最後までのこっているのが
ピラカンサの赤い実。
次が南天の赤い実です。


南天の実が無くなり、
ピラカンサの実までなくなると
春の近さを感じます。


今日は、まだ実が残っている“南天(なんてん)”

実が重そうに風に揺れる南天


“南天(なんてん)”は、どちらかというと
日かげに植えられています。
ですからあまり目立たない植物ですが、
赤い実をつけると存在感が出てきます。


「難を転じて福を招く」と言われて
古来から縁起の良い植物として祝い事に使われてきました。
そして、火事よけにと植えられてきました。


あまり大きくならない木ですが時には、高くなる木もあるようです。


この“南天(なんてん)”原産地は、日本と中国。
藤原定家の日記「明月記」に
中宮権大夫が植えたと書かれています。


足利義満も金閣寺の茶室に
“南天(なんてん)”の床柱を使ったとされています。


戦に出陣する武士は、“南天(なんてん)”の一枝を鎧の内に挿し
武運長久を祈ったとされています。


子どもの元服の式にも挿されて使われていました。
安産のお守りのもなっていたようです。


江戸時代になると
火災よけということから
屋敷内には必ず植えられるようになります。


江戸時代ではごくありふれた植物でした。
そのころ書かれた「花壇地錦抄」には
「朝夕の身近きものなれば、くはしくいふも くどし」と書かれています。


“南天(なんてん)”の葉は殺菌力があり
江戸時代では、食物の下に敷く掻敷に使っていました。
暑い頃には、重箱の中に掻敷として使い、
上からも葉をかけておくと、食べ物がいたまないと使われていました。


祝い事のお赤飯の上に添えているのが風習として
今でも残っていますが
祝い事の吉祥の意味も込められているでしょう。


“南天(なんてん)”の栽培が
江戸時代に入ってから盛んになります。
品種も増えてきます。
それは明治になっても続きます。
“南天(なんてん)”の品種は多い時には120種を数えました。


現在の品種は三分の一位になっています。


“南天(なんてん)”は、招福の木としてお正月にも飾られます。
一たび雪が積もるともっと存在感を増す赤い実です。


今日の歌は
南天の実が色づいてくると
寒さも増してきて、
朝の霜の情景も白さが増してくると詠われています。
厳しい寒さに向って南天の赤い実の彩りが
一層際立っている様子が伺えます。


ひとたび、雪が降って白い世界になったら、
南天の実の赤はもっと華やかさを演出しそうです。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  からっ風に  たわみて立ちつ  実南天
 


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| | 16:01 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「松」を飾り晴れの新年を迎える
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  一つ松 幾代か経(へ)ぬる 吹く風の


   音の清きは   年深みかも (万葉集)



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本の重要な行事はお正月。


お正月の7日間は「松の内」といいます。
門松をたてたり、松を飾って正月を迎えます。


新年を迎える時に、「松」を飾るのは
歳神様を迎えるための依代とされていたからだと言われています。


ふつうの人には神が見えません。
その神を身辺に呼ぶには、目印となる依代が必要なのです。

新年の松

古には、常緑のものでしたら何でもよい時もあったようですが
いつのころからか、「松」になってきました。


今は、晴れの新年を迎えるには
「松」が飾られています。



日本古来から日本には「松」が多く
美しい自然を形成をした「松」は、
人々の目に触れることが多かったのでしょう。


そのため、「松」は
古来から文学にも多くの題材になっています。


最初に文学として出てくるのは古事記です。
万葉集にも79首という多くの歌が詠まれ
他の文学作品にも、多く描かれています。


正倉院宝物のひとつ「鳥毛立女」の屏風絵の背景として
松が描かれています。


そして、正月を迎える松立て行事などから
「松囃子」が、室町時代には上流でさかんに行われました。


この「松囃子」は、能と同じ起源をもつと言われています。
能の舞台には、見事な老松が描かれ
橋掛かりには、三本の松がしつらえられます。


日本で育まれた能の世界。
能の表現は、現実と夢の世界を表現します。
その表現には、神の依代であろう老松の背景が
一番合っているのかもしれません。


今回の万葉の歌は
この松は、どのくらい経ているのであろうか。
松を吹く風が、
清澄なのは多くの年月が経っているからであろうと詠っています。


今年の年神様を迎え
誓いを新たに新年を迎えました。
良き年になるといいですね。



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  陽だまりの  風の冷たき  松の内
 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



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| 初春 | 17:17 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  一つ松 幾代か経(へ)ぬる 吹く風の

   音の清きは   年深みかも (万葉集)


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日本の重要な行事はお正月。

お正月の7日間は「松の内」といいます。
門松をたてたり、松を飾って正月を迎えます。

新年を迎える時に、「松」を飾るのは
歳神様を迎えるための依代とされていたからだと言われています。

ふつうの人には神が見えません。
その神を身辺に呼ぶには、目印となる依代が必要なのです。

新年の松

古には、常緑のものでしたら何でもよい時もあったようですが
いつのころからか、「松」になってきました。

今は、晴れの新年を迎えるには
「松」が飾られています。


日本古来から日本には「松」が多く
美しい自然を形成をした「松」は、
人々の目に触れることが多かったのでしょう。

そのため、「松」は
古来から文学にも多くの題材になっています。

最初に文学として出てくるのは古事記です。
万葉集にも79首という多くの歌が詠まれ
他の文学作品にも、多く描かれています。

正倉院宝物のひとつ「鳥毛立女」の屏風絵の背景として
松が描かれています。

そして、正月を迎える松立て行事などから
「松囃子」が、室町時代には上流でさかんに行われました。

この「松囃子」は、能と同じ起源をもつと言われています。
能の舞台には、見事な老松が描かれ
橋掛かりには、三本の松がしつらえられます。

日本で育まれた能の世界。
能の表現は、現実と夢の世界を表現します。
その表現には、神の依代であろう老松の背景が
一番合っているのかもしれません。

今回の万葉の歌は
この松は、どのくらい経ているのであろうか。
松を吹く風が、
清澄なのは多くの年月が経っているからであろうと詠っています。

今年の年神様を迎え
誓いを新たに新年を迎えました。
良き年になるといいですね。


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
  陽だまりの  風の冷たき  松の内
 

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