野花や草木の散歩道で一句

道端の野花、そして草や木。
どこにでも咲いている道端の可憐なお花。
古の歌から生い立ちを辿り、草木たちの古を思い浮かべながら
草花や木々を眺めてみませんか。
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街路樹に多い「槻(つき)ケヤキ」
JUGEMテーマ:野花と草木を詠う


━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



とく来ても 見てましものを 山城の


  多賀の槻群(つきむら)  散りにけるかも(万葉集)



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気温が冷え込んでくると
木々の葉も、色替えしています。
「けやき」も黄葉し始めました。

秋の陽を受けるけやき


この「けやき」。
古くは、「槻(つき)」と呼ばれていました。


ニレ科の植物で
同じニレ科の「榎(えのき)」などとともに神聖視されていました。


春の若葉、夏の青葉、そして秋の黄葉
冬には、葉が落ちて
扇形に拡がった落葉広葉樹特有の樹勢が
天を掃くように思はせる「槻(つき)ケヤキ」を
神聖視されていたようです。



古事記には、
大化元年に孝徳天皇が
群臣を法興寺の、大槻の下に集めて
皇室と群臣の一心同体の誓いを行ったとされています。


大きな木がそびえ立つ姿は
神のよりつく木とみなされていたのかもしれません。


韓国でも
新羅王家の金氏の祖が
ケヤキの木の枝にかかっていた箱から
鶏の鳴き声とともに生まれたという話が伝えられています。


今でも「槻(つき)ケヤキ」を聖樹の代表のように見なしています。


関東の武蔵野でも
「槻(つき)ケヤキ」を神木としているところが多くあります。


東京都府中市にある武蔵国の総社である大國魂神社の
けやき並木は、
大鳥居までケヤキ並木が続いており、
国の天然記念物に指定されています。


この神社では
けやき並木の若芽によって、吉凶を占う風習があったようです。
これは、農事の始めを けやきの若芽で行っていたことから
来ているようです。


古の時代から、人とともに歩んできた「槻(つき)ケヤキ」です。


今回の歌は、
もっと早く見にくればよかったのに
山城の多賀の「槻(つき)」の林の
黄葉も散ってしまっているでしょうと。


ちょっと寂しい歌です。


秋も深くなります。
きれいな紅葉や黄葉が散らないうちに
散策されてみてはいかがでしょうか。



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  秋時雨 けやき並木を 駅目指す



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| 晩秋 | 16:16 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
恐竜のいた時代からある 「いちょう」の木
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 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




銀杏の実 まだ早くして 落ちたるが
 
  この園の路に  にほひたちけり
(佐藤佐太郎)




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どこからとも、臭いが立ち込めています。

路に落ちているギンナン



ちょっと奥に入った小さな道。
台風の強い風で
落ちた「イチョウ」の実が、道いっぱいに落ちていました。
傍には大きなイチョウの木があります。



枝から落ちたばかりの「イチョウ」の実の臭いは
なんとも言えないものです。



この実の内に白色硬質の核果を「ぎんなん」と言います。
これは、焼いたり煮たりと人気のある食材です。



今回は、神社や街路樹に植えられている
どこにでもある馴染みの深い「イチョウ(公孫樹・銀杏)」。



「イチョウ」は、恐竜時代からある木でした。
恐竜は、とうの昔に滅び去ってしまいましたが
中国で絶滅をのがれた「イチョウ」は
世界に広がっています。



日本には、平安後期から鎌倉時代に
仏教の伝来に伴って中国から移入されたと言われています。



雌雄異株で、扇形の葉をつけます。
木の葉が一枚葉なので、「一葉(いちよう)」と云う
この木の名前の由来の説もあります。



「イチョウ」は、若葉も美しいものがありますし
秋の黄葉になった姿も美しいものがあります。

枝に実るギンナン

雌木の実は、葉が黄変し始めるころに実を結ぶと
言われていますが今年の銀杏(ぎんなん)は
ちょっと早いようです。



緑の葉の中に黄色く熟した実が落下準備をしています。



もう少し、気温が低くなると
葉の色の変化も早くなるかもしれません。
銀杏の葉が、黄色くなって
街路樹の銀杏黄葉(いちょうもみじ)が続く道は、見応えがあります。



秋が深まって、「イチョウ」の葉が秋の陽を受けて
金色に輝きながら木々から落ちてくる光景も印象深いものがあります。



この「イチョウ」は、防火樹として特質もありますので
神社・仏閣には、多く植えられています。
各地の神社仏閣には、名木も残されています。



鎌倉の鶴岡八幡宮の石段脇の大きな「イチョウ」などは見応えがあります。
地元の神社などには、立派な「イチョウ」があることでしょう。
今の時期は、落ちた銀杏を集める人も多いかもしれません。



「イチョウ」は、老木になると
幹から、乳房状のこぶが垂れてきます。
これを乳銀杏(ちちいちょう)と云い
母乳がよく出るように祈願されていました。
ですから、信仰の対象ともなっていました。



ただ、このこぶは雄木にできるもので
ぎんなんを作らない雄木の栄養過多が原因のようです。
今でいう、メタボリック症候群の木です。



今回の歌は
宮城県出身の歌人、佐藤佐太郎の歌です。



銀杏の実が落ち始めた時の情景を詠っています。



 



 



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



   
  風が立ち 路に拡がる 銀杏の実




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| | 10:23 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
道端の「えのころぐさ(狗尾草)」
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



  秋の野に 花やら実やら えのこ草 (楚常)



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何処の道端でも生えている「えのころぐさ(狗尾草)」
「犬の子草」云う意味です。


古には、「えのこぐさ(犬子草)」と呼ばれていました。


「七夕に禁中にて芋の葉に露をうつして、
ゑのこ草にて結て、院中に進ぜらるるよし、
年中行事に見えたり」と「和訓の栞」にあるように
古くから使われていたようです。


毛の長い穂の形が、犬の尻尾に似ているところの名前です。

穂が陽に映えるエノコロ草

植物名ではなく、別名の「ねこじゃらし」の方が
わかりやすいのかもしれません。
子猫が、じゃれつき易いのでこうよばれています。


子どもの頃には、猫だけではなく
そっと後ろからくるくる動かして
祖母や友人を驚かせたりしていました。
やったことある人は多いと思います。


もともと、粟の原型と云われる植物で、食用にもなります。
「えのころぐさ」の若芽は、天ぷらにしたり
火であぶって食べていました。
しかし、種類によっては中毒を起こしますから注意が必要です。


「えのころぐさ」はあちこちに生えています。
ムラサキエノコロ
キンエノコロ
オオエノエノコロ
ハマエノコロ
エノコロの仲間は多くいます。
色々交わってしまい、原種というのには程遠く、
変種が多くなっています。



今回は、石川県出身の金子楚常の俳句です。


秋の野原に咲いた
さまざまな花の彩り
そして、色づき始めた実。
風に揺られ、秋の陽に輝くエノコロ草の穂。


澄んだ空気の秋の野原の情景を詠っている一句です。


 



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  畔道を えのこ草揺らし 駆ける子ら



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| | 17:49 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
中秋の名月は、つきづきに  つきみるつき  
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



つきづきに  つきみるつきは  おおけれど


 つきみるつきは   このつきのつき (読み人知らず)



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昨夜は、中秋の名月でした。


日が落ちて、くもり空でしたが
関東では、雲間が開き、月が顔を出しました。
皆さんのところは
いかがでしたでしょうか。

雲間からの満月

中秋の名月は
旧暦の「八月十五日」の月になります。


もともと、四季のある日本ですが
春は、一月二月三月
夏は 四月五月六月
秋は 七月八月九月
冬は 十月十一月十二月
旧暦を使っていた頃は、このように季節を捉えていました。


そして、その季節をひと月ごとに
それぞれ、
「初 中 晩」や
「孟 仲 季」とその季節を細分化していました。


中国の暦では、季節を「孟・仲・季」と分けていました。
これは、中国では兄弟の年の順を表す場合に用いられ、
孟は年長者、仲は真ん中、季は末っ子を表します


秋の季節は
七月が「初秋」・「孟秋」
八月が「中秋」・「仲秋」
九月が「晩秋」・「季秋」
と、言われていました。


中秋の名月は、「八月十五日」です。


「八月十五日という名字の人は
「なかあき」と読むのだそうです。


今回の歌は、中秋の名月を讃えた歌です。
「月」が八回出てくるので、
陰暦八月十五夜を意味するともいわれています。
いつの頃から詠まれたのかはわかりません。


子どものころに聞いた時、
すっと頭に入りこんで、くちずさんで覚えた思い出があります。


昨夜の中秋の名月を見ながら
頭の中では、
「つき」がころころと廻っていました。


アポロ11号が月に降り立って、もう40年になります。


子どもの頃には、
月にすぐにでも行けると思っていましたが
まだまだ、遠い道のりのようです。


 



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  尾花咲く 見上げる空に 三五の月



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| | 15:42 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |


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