野花や草木の散歩道で一句

道端の野花、そして草や木。
どこにでも咲いている道端の可憐なお花。
古の歌から生い立ちを辿り、草木たちの古を思い浮かべながら
草花や木々を眺めてみませんか。
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万葉集に出てくる「芋(うも)」
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



蓮葉(はちすば)は かくこそあるもの 意吉麻呂(おきまろ)が


       家なるものは   芋(うも)の葉にあらし    (万葉集)



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秋の日差しになり
もうすぐ、中秋の名月です。
今年は、10月3日です。


中秋の名月は、芋名月とも呼ばれています。
それは、この頃の里芋が美味しいからと云われています。


コロコロとした、新イモは
衣かつぎにしてくるりと皮をむくと、お団子より可愛く
口当たりも柔らかく美味しいものです。


万葉集に出てくる「芋(うも)」は、サトイモのことです。


もともと、熱帯原産のサトイモが、このように詠まれているのは
もっと古来から、伝来していたのです。

もうすぐ収穫する里芋


トコロヅラに見る自然薯が「ヤマイモ」と呼ばれ
里の家の周りで、できるイモは「サトイモ」と区別して呼ばれました。
ですから、万葉の頃はヤマイモとサトイモが食べられていたようです。


今の生活では、「イモ」と言えばジャガイモやサツマイモになっていますが、
ジャガイモは南米アンデス山脈の高地が原産といわれ、
日本には、17世紀初めにジャカルタよりもたらされています。


サツマイモは中米原産といわれ、
中国を経て沖縄から九州へと16世紀末、もたらされました。
薩摩の国では「唐芋」と呼ばれて
本州に上陸して、本州では「薩摩芋」と云われています。


古くからある「サトイモ」。
昔は、七夕祭りの時に
サトイモの葉の露を硯にとって、その露で墨をすり
短冊に書く風習もありました。
古の頃から、食べ続けてきたのです。


宮廷に仕えた下級官吏であったらしい
長忌寸意吉麻呂(ながのいみきおきまろ)の歌です。


蓮の葉は、このような葉の事をいうのだろう。
我が家の家にあるものは、どうもサトイモの葉らしい と。


一説では、よそ様の美しい奥さまと、
自分の妻を比べているとも言われています。
少しは、他家へのお世辞も込めての歌なのでしょう。


もうすぐ、
お月見ですが、畑のサトイモはまだまだ伸びそうです。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  衣かつぎ  白き新芋  口で溶け



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万葉集に詠まれている「まめ」
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 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



道の辺の 荊(うまら)の末(うれ)に 這(は)ほ豆の


    からまる君を  離(はか)れか行かむ(万葉集)



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お彼岸のころ
春のお彼岸のときも暖かさが身体を心地よく包まれます。、


そして秋のお彼岸になって、
暑さが秋風に消されて
ちょうどいい心地よさに包まれています。


夏の間に、伸びた草
花をつけて、種を飛ばすと大変という事で
あちこちの草地の草は、刈り取られて空地が目立つようになっています。


そんな中で、道辺の花に
必死に絡みついている「やぶまめ」。下向きに咲くやぶまめの花


万葉集に「まめ」として詠まれています。


普通「まめ」と云うのは、「大豆」を指すそうですが
この歌に詠まれている「まめ」は
のばらに絡みついているということから
食用の大豆のような豆ではなく、
野生の「やぶまめ」や「つるまめ」をさしています。
しっかり絡むつるまめの花

林の廻りの道端の木々に
まとわりつくように咲いています。


「やぶまめ」は葉のかげに隠れるように白と薄紫色の花が、
葉蔭に咲いています。
「つるまめ」は、やぶまめより花が小さく
ほんとうに巻きつくように咲いています。


マメ科の植物ですから
花の後に、莢を結びます。
しかし、食用にはなりません。


今回の歌は、防人の歌です。
私はこれから、防人として旅立たなければいけないけれど
ノイバラに、からみまとわりついているまめの蔓のように
離れまいとしているお前の元を
別れて出かけていくのは、悲しいことだと
別れの辛さを詠んでいます。


「ノイバラ」を防人に、
絡みつく恋人を「まめ」に譬えて詠んだ歌です。

蔓が伸びていくやぶまめ

この歌を知ってから、時々みかける「やぶまめ」の花。
ちょっと下向きに咲くやぶまめの花から出る蔓は、
周りから芯に向かって
一心にまとわりつき絡みついているように見えてなりません。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
 まめ蔓が 藪垣にからみ 秋すだれ



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「韓藍(からあい)」とは、「けいとう(鶏頭)」の花
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 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


秋さらば  移しもせむと 吾が蒔きし


  韓藍の花を  誰が採(つ)みけむ(万葉集)


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秋風になり
秋の花も一斉に咲き始めました。


夏の終わりから咲き始めて
赤が一層増してきた、「韓藍(からあい)」。

咲き始めた鶏頭の花

「韓藍(からあい)」とは、
韓の国から伝えられた藍。
紅い種が出来てきた鶏冠花

昔は「韓藍(からあい)」は、
ツユクサやベニバナを
指すともいわれましたが
今では、「けいとう」を指す
という事が
定説になっているようです。

「けいとう」は、
「鶏頭」と書くように
赤い花が、
鶏の鶏冠(とさか)に似ているところからと云われています。


昔は、この「韓藍(からあい)」を
染料にしていたとか。
この花の
染める力はあまりなく、
染料としてはあまり実用化は
していなかったようです。


その後、この「けいとう」が出てくるのは江戸時代です。
貝原益軒の「菜譜」によると
”けいとうの若葉を茹でて、しょうゆにひたして食べると「ヒユ」より旨い。
しかし、あえ物にすると、「ヒユ」より劣る”と。
江戸時代は、野菜として栽培されていたようです。


その他に、鶏頭のあの紅色の花から
アワ粒くらいのまわりが赤い綺麗な種子が採れます。
中国では、その種子を食用としていました。


そうした食用としての栽培過程から、
観賞用の変わり種が採れ、花卉栽培が盛んになりました。


葉の美しいものは、「ハゲイトウ」として観賞用になっています。
密植して植えられて作られた「ミニケイトウ」もあります。

今回の万葉の歌は、
秋になったら、
咲いた花を、摘んで うつし染めようと
思って植えておいたのに
誰が、私の鶏頭の花を摘んでいってしまったのだろうと、
韓藍の花を女性に見立てて詠った歌です。





秋風揺らぐ草原は
草が天を目指すように伸びて
先っちょに小さな花を咲かせています。


同じヒユ科の「アオケイトウ」
花付きが似ているのでしょうか。


同じ名前がついてますが
野原で咲く「アオケイトウ」。
他の草に交じって
小さな花を咲かせています。


野原では、草の花も満開です。


 





━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  秋日差し からくれないの 鶏冠かな



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| | 16:16 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
「いたどり」は、「虎の杖」と書く
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


いたどりの 白き小花の むれ咲くを


  幾たびを見て  山を越え来ぬ(斎藤 茂吉)


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秋風の涼しさに
野の花も秋の花が目立つようになりました。


野原の林の中に
群れ咲く、白い花。
野原の中の虎杖の花


平安時代の才女、清少納言は
枕草子の“見ることなることなきものの 
文字に書きてことごとしきもの”の中で


“いたどりは、まいて虎の杖と書きたるとか。
杖なくともありぬべきかほつきを。”


として挙げられている「虎杖(いたどり)」。


「いたどり」は、「虎の杖」と書くが
虎などは杖など使うような面構えではないのにと綴っています。


仮名で書けばなんでもないのに
漢字で書くと難しくなると、清少納言は言ってます。


平安時代の頃から、今でもそのまま使われているのに
長い歴史をおもわせる植物です。


仮名で書いた「いたどり」は、
転んだときなどに、
若い葉を揉んで患部に湿布してあげると
出血が止まり、痛みもとれるところから
「いたどり」と呼ばれたようです。

こぼれるように咲く虎杖の花


若い茎は柔らかく、山菜として食べられます。
茎や葉が分かれる前のものを折って採取し、
皮をむいて生で食べます。


土手に生えているようなものを取って食べたと
親からは聞かされていました。
ちょっと酸味があって、いいおやつだったようです。


今回の歌は、
大正から昭和前期にかけての活躍した
斎藤茂吉の歌です。


今頃の季節なのでしょうか。
白く咲いたいたどりの花を
あちこちで見ながら
山を越えて来たと、詠っています。


緑の多くなっているこの時期、
遠くから見て、白く群れ咲くいたどりの花は
ちょっと涼しさを覚える花の群れです。


 



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  葉かげ揺れ 白きいたどり 花盛り



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