野花や草木の散歩道で一句

道端の野花、そして草や木。
どこにでも咲いている道端の可憐なお花。
古の歌から生い立ちを辿り、草木たちの古を思い浮かべながら
草花や木々を眺めてみませんか。
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「耆萩(めどはぎ)」の茎は占いの筮(ぜい)」に使われていました
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 花の木に あらめざらめども さきにけり


      ふりにしこの  なる時も哉(万葉集)


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短い夏も過ぎようとして
道端の草木は、もう秋の花色になりつつあります。


道端に茂る小さな葉のなかに咲く小さな萩に似た花。
私も花の名前知りませんでした。


自宅に戻り調べてみると
「耆萩(めどはぎ)」、萩の仲間です。

葉の中に咲くメドハギ


蝙蝠の様に、鳥の加勢をしてみたり
獣の加勢をして、顰蹙をかった話がありますが
この「耆萩(めどはぎ)」も、木の分類で掲載されていたり
花としての分類になっていたりしています。


萩の花、ハギ属の種類は世界で60種類以上ありますが
この「耆萩(めどはぎ)」の花のつき方は
花序を作らず一つづつ花が咲く、萩らしくない花です。


中国の陰陽五行説を元に
奈良時代に、「陰陽寮」が官庁に設置されました。
長官は陰陽頭。
陰陽道に基づく呪術を行う陰陽師。
陰陽師を養成する陰陽博士、
占星術を行使・教授する天文博士。
暦の編纂・暦作成を教授する暦博士が
官吏としてそれぞれ配属されていました。
その下で学生・得業生が学んでいたのです。


平安時代には、陰陽師安倍晴明が活躍しています。
安倍晴明は天文博士に任命されています。
そして、明治時代まで続いていました。


陰陽の占いに使うのは、「筮(ぜい)」。
「耆萩(めどはぎ)」の茎を使っていました。


ですから本来ならば、「筮(めどぎ)はぎ」でした。
短縮されて、「耆萩(めどはぎ)」と呼ばれるようになったようです。

メドハギの可愛い花今、占いに使っているのは、竹製の「筮竹(ぜいちく)」です。

竹の方が均一に
加工しやすい為ですが、
「耆萩(めどはぎ)」もかなりの
期間使われていました。


陰陽師・安倍晴明が
活躍していた頃には
なくてはならない
「耆萩(めどはぎ)」でした。

今は、土手の草むらなどにに
低木状に広がり
木質化した茎に葉を
びっちりとつけています。
その葉の中に、埋もれるように
萩の小花を咲かせています。



今回の歌は
この木は、花の木ではないでしょうけれど、花が咲きました。
そして、木の実がなる時でもあったらいいのにでしょうにと。


「あらまざれめども」にめどはぎの「めど」が入れられています。
「木の実」は「この身」とに解釈され、


すっかり忘れ去られた、この身が出世するといいのにな
という意味にもとれる歌になっています。


木の花でもなく、道端に咲く花ではない「耆萩(めどはぎ)」
知らない人が多いのではないでしょうか。


緑の葉の中に、小さな葉を咲かせている「耆萩(めどはぎ)」
散歩路、土手の草むらなどを探してみてください。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  秋風に 耆萩の花 見え隠れ



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| 初秋 | 17:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
黄色の花の「をみなえし」、白い花の「おとこえし」
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


女郎花 咲きたる野辺を 行きめぐり


  君を思ひ出  徘徊(たもとほ)り来ぬ(万葉集)


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朝夕の涼しさに、次の季節を感じます。
日差しは強くても
木々や植物は、秋を演出し始めています。


今回は、秋の訪れと共に咲く「をみなえし」
茎高く、黄色の小花をつけ秋風に揺れている「をみなえし」
秋の七草にも数えられている「をみなえし」


漢字で書くと「女郎花」が知られています。
その他に万葉集では
「娘子部四」「姫押」「姫部思」「娘部志」「佳人部為」「美人部師」
とも書かれています。

秋風に揺れる女郎花

「をみなえし」の『をみな』は、女性という意味。
『えし』の解釈はそれぞれあります。


この花が細かくて、あわ飯のように見えるからという説。
黄色いあわ飯を『女飯(めし)』で「をみなえし」
白い飯を『男飯(めし)』で「おとこえし」
と言われていますが、
万葉の頃には、この『飯(めし)』は使われていないようです。


『えし』は古語の『圧し』で
「をみな 圧し」(おみなへし)となり
黄色い小さな花の中に
女性の美しさを見ていたのではないでしょうか。


もう少し力強く咲く
白い花の「おとこえし」に
男性の力強さを対比していたのかもしれません。


日当たりの良い所であれば
日本全国にどこにでも見られる「をみなえし」です。


以前は晩夏から初秋にかけて
黄色の細かな花を集めて咲いてたのでしょうが
今は、野原の草むらに咲く姿はあまり見られません。


今回の万葉の歌は
秋風が立ち始めた野原には
黄色の小花の「をみなえし」が優しく揺れている情景の中で


「をみなえし」の咲いている野辺を歩きまわって花を折りながら、
あなたのことを思い出して廻り道をしてきましたという
優しさのこもった歌です。


現在では、野生ではなく
庭で栽培されている「をみなえし」が多くなっています。


遠出した山道などには、
黄色い「をみなえし」や、
ちょっと大きめの白い「おとこえし」が見られるかもしれません。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
   草はらに  黄色が揺れる  女郎花 



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| 初秋 | 16:33 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
「イネ(稲)」を食べてきた日本人
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


きのふこそ さなへとりしか いつのまに


  稲葉そよぎて    秋風の吹く(古今集)


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今年の天候は、いつもと違うようです。
お盆休みに入る頃に
やっと、いつもの暑さがきました。



西日本は、遅梅雨から台風と雨が多くなり
被害もおおくでているようです。
そして、予報では冷夏ということも出ています。


祖霊を送り
冷夏の予報を案じて、田んぼに目をやると
関東では、稲穂が実り始めています。
他の地域ではどうでしょうか。
平年並みの実りを期待したいところです。
こうべを垂れる蒼稲穂

「豊葦原の瑞穂の国」といわれてきた日本。
古来から、米作りにはげんできました。
そして、米で命をつないできました。


古事記によれば、
スサノオノミコトに殺されたオオゲツヒメの身体から
蚕や粟や麦が生まれ、稲の種が生まれたとしています。


そして、縄文時代後半から稲栽培が始まり、
弥生時代には稲作がひろまったとされています。


正月の鏡餅や雑煮から始まる、日本の1年。
米作りをしてきた日本の伝統文化があります。


民俗学者の柳田国男氏の民俗学のなかでも
基本の農作物は「イネ(稲)」としています。
稲耕作を中心とした生活が、日本の伝統中心として捉えています。


古事記や日本書紀には「稲」と使われています。
古くは「イナ(伊奈)」が使われていましたが、
万葉集では「イネ(伊弥)」と出てきます。


命をつなぐ「イネ(稲)」ですから
農家ばかりでなく、町家でも昔から大切にされてきました。
「米一粒 汗一粒」と言われたように
農民が苦労して育てた「米」
粗末にしてはならないと教えられてきました。


江戸時代、そして明治の頃までは
すべての人が「米」を食べていたわけではありませんでした。


すべての国民が、「米」を食べられるようになったのは
第二次世界大戦の時の
政府の食料管理政策を施行したからです。


しかし、その政策が、休耕田を作り
2000年続いてきた稲耕作の歴史が変化しています。


天候によって左右される稲作です。
なくてはならない、食料です。
今年も稲穂に実を結ぶように願っています。


今日の歌は
田植えをして、早苗となり
稲葉が多くなりこれから稲穂が見られる情景を詠っています。


田んぼの中の稲は
そろそろ、こうべを垂れ始めてます。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  蒼き穂が 盆風にふかれ こうべたれ



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| 初秋 | 18:17 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ミソハギは、禊萩(ミソギハギ)」
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


みそはぎの 花咲く溝の 草むらに


寄せて迎え火  焚く子等のをり(若山牧水)


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東京では、お盆が7月です。
しかし、他の地域では、お盆と言えば8月が多くなります。
その中でも、昔からの集落では
8月20日過ぎのところもあるようです。


今回は、お盆行事に使われる植物の一種。
「ミソハギ」
名前の由来については
溝に生えるので「溝萩(ミゾハギ)」とも云われていますが


お盆に先祖の霊を迎える時、
精霊棚に供えたものに、水で濡らした「ミソハギ」を振って
その雫で禊をしていたから
「禊萩(ミソギハギ)」と云われて
「ミソハギ」になっていったようです。


その「ミソハギ」での禊の方法は
地方によってもいろいろあるようです。


仏前に飾ったり、
供物の前に水を張った器に浮かせたり
玄関前で、水をつけて振ったりといろいろ聞きます。
その地域によって使い方もいろいろあるのでしょう。
どんな使い方をしていらっしゃいますか。


この「ミソハギ」、いつの頃からか使われているのでしょうか。
かつての神事では、身を清める禊が
水辺で行われていました。
その時に、身体を清める禊に「ミソハギ」を使っていました。
湿った水辺に沢山花を咲かせていたためかも知れません。

そして萩の花とは、形状は似ていませんが
小花のつき方が、萩を思わせたのかもしれません。
畑に咲くミソハギ


今回は、近代の歌です。
お盆に故郷に帰る人も多いと思います。


お盆迎えの準備をすっかり済ませ
祖霊を迎える様子を詠っています。


こんな情景を、お盆の頃にはあちこちで
見かけられるかもしれません。


関東ではお盆の頃には、庭の片隅や、空地の片隅に
赤紫色の「ミソハギ」が今を盛りと咲いています。


 


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  みそはぎを 野辺で折りつつ 盆支度



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| 盛夏 | 15:14 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「いはゐづら」は、真夏の雑草
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

入間道(いりまじ)の 大家(おほや)が原の いはゐ蔓(づら)


   引かばぬるぬる  吾(わ)にな絶えそね(万葉集)


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暑い太陽を受けて育つ「いはゐづら」
現在の、「すべりひゆ」を指しています。


「いはゐづら」の名の起こりは
「いはゐ」は、祝いを指し、栄えを意味し、
「づら」は蔓草を意味しています。
繁茂力の強い草ということがわかります。


盛夏の道端や畑で、地に這うように育つ雑草です。
太い茎質共に、多肉質です。


太陽が照りつける真夏の日に
道端では、
黙々と多肉質の茎や葉を成長させています。
暑ければ暑いほど、大きく育ちます。
陽に向かって咲くすべりひゆ


昭和の初めころまでは、
若い葉などを茹でて食べていました。
多肉質の茎は、ぬめりがあり和え物などにしていました。


このぬめりから「すべりひゆ」と名の由来があります。
「ひゆ」は可愛らしいという事を指し
多肉質の葉の中で咲く、小さな花をさしています。


祖母の太平洋戦争の苦労話の中に
食料難の時、夏に育つ、さつまいもの蔓や
この「すべりひゆ」などを食べたと聞かされた事を思い出します。


今回は東歌です。
入間道の大家が原に(入間は埼玉県入間郡)
「いはゐづら」摘みにきた女たちの恋の不安を詠っています。


入間道の大家が原に繁茂する「いはゐづら」よ
私が「いはゐづら」を引くように
あなたの気を引いたら私になびいて、
私との縁を切らないようにして下さいねと…


都会ではなかなか見られなくなってしまったでしょうが
ちょっと郊外では、よく見られる「すべりひゆ」。


強い繁殖力で、暑さで他の草が生えなくなってしまった地面を
わがもの顔に伸びていく「すべりひゆ」。


食べられる雑草として、注目されるといいですね。


 


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
   夏出水  晴れ間に咲く すべりひゆ 



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| 盛夏 | 16:18 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |


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