野花や草木の散歩道で一句

道端の野花、そして草や木。
どこにでも咲いている道端の可憐なお花。
古の歌から生い立ちを辿り、草木たちの古を思い浮かべながら
草花や木々を眺めてみませんか。
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這いながら、花を咲かせるテイカカズラ
JUGEMテーマ:野花と草木を詠う

 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


石綱(いわつな)の  また変若(をち)かへり  あをによし


          奈良の都を   また見なむかも (万葉集)


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木にからみついている「石綱(いわつな)」
万葉集では、この他に「石葛(いわつた)」、
「都多・津田(つた)」と云われてた植物。
現在では、キョウチクトウ科の「テイカカズラ」と云われるものです。

この「テイカカズラ」は、
新古今集の選者である、藤原定家。

藤原定家が、式子内親王を慕うあまりに
その墓にからみついたということに由来しています。
人物名が、植物の名前になっています。
白い花びらが回りだしそう
葉は小さくて、初夏に芳香のある白色の花が咲きます。
5裂して咲く白い花は、
風に揺られて今にも回り出しそうなかざ車のようです。

そして「カズラ」という名の通り
他の植物に絡みながら上へ上へと延びていきます。

奈良時代、
藤原広嗣の乱がおこり
奈良の都の平城京が、数年間廃墟となり
すっかり、荒れ果てた都を悲しんだ歌の一首です。

岩に、這い茂り白い花を咲かせている岩綱のように若返って
奈良の都を又、見る事が出来るようになるのであろうか。

這いながら咲く、かざ車のような白い花の賑わいが
都の廃墟を際立たせているようです。

奈良の都は、
来年、2010年「平城遷都1300年祭」。
色々な催しが企画されています。

万葉の頃から岩に這いながら咲き続けている、岩綱…
奈良の都で、テイカカズラを見つけてみませんか。


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
  藪垣を  定家葛の  絡み咲き


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| 初夏 | 11:33 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
5月の風に揺れる麦秋
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 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


馬柵越(うませご)し  麦喰(は)む  駒の罵(の)らゆれど


    猶し恋しく   思(しぬ)びかねつも 
(万葉集)


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小学生だった頃
関東平野は、二毛作が行われていたと記憶しています。
何処までも続く、麦畑の記憶がありましたが、
ふと気がつくと見られなくなった光景です。

秋、稲の刈り入れが行われます。
その後の田んぼには、麦が蒔かれます。
そして、厳寒の頃、やっと出たばかりの麦の麦踏みがされます。
春、桜の頃には蒼いムギ畑になり
5月の麦畑は、麦の穂が黄金色なります。
風に揺れる麦の穂
梅雨に入る前の今頃を麦の秋(むぎのあき)、麦秋(ばくしゅう)といいます。
麦を刈り入れる前の今の時期は、
空気も乾燥していて、気持ちのいいこの陽気は
秋に通じるものがあったのでしょうか。

近年、地元での地産地消運動が、活発になっています。
そのせいか、麦畑が少なくなった地域でも
麦を作る農家が増えているようです。
田畑が拡がる地域では、麦秋の光景が年々多くなっています。

万葉の頃も、麦は作られていたようで、麦を詠んだ歌が見られます。

万葉の頃は、麦と言えば「大麦」を指すようですが
平城京跡から出土された木簡には
“麦”と記されているのもありますから、
大麦も小麦も作られていたようです。

どんな食べ方をしていたのかは定かではありませんが
小麦粉で作る各地の料理は多くあります。
日本だけでなく、世界各地でも多く見られます。

現在、各地の小麦粉料理は、B級グルメとして、脚光を浴びています。
米ではない、小麦粉文化は庶民が培ってきたものではないでしょうか。
身近にある小麦粉料理、生活に密着したものが多いです。

今回の万葉の歌は
馬が、柵越しに麦を食べるとおこられるように
私は、あの人に恋をしている。
親には、叱られるけれど、恋しくて仕方がないと

恋している物にとって
どんなに親にしかられようと、
恋している、どうしようもない切ない恋が詠われています。

春、実を結んで風に揺らぐ麦の穂。
恋をして思い描いて揺らぐ心。
詠まれたのは、この麦秋のちょっと前の時節だったかもしれません。


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
  麦秋に 夏思はむと 陽は強く

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| 初夏 | 09:47 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
黄楊(ツゲ)の小櫛(オグシ)に思いをこめて
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 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

君なくは 何そ(な)そ身装(みよそ)はむ  くしげなる


  黄楊の小櫛(つげのおぐし)も 取らんとも思はず
(万葉集)

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新緑をよく見ると、木々の花が咲いています。
先日は、神社の境内で「黄楊(ツゲ)」の花が咲いていました。
境内で咲く黄楊の花

常緑樹の「黄楊(ツゲ)」は、つぎつぎと葉がでることから
次々の葉という言葉から「ツゲ」という名がついたとも云われています。

漢名の「黄楊」は、木肌が黄色をしているところから
この字があてられています。

楕円形の光沢のある葉、そして黄色く美しい木肌で
木質も緻密なところから細工物に多く使われています。
櫛はもとより、版木や印材などに用いられています。

古から、櫛と云えば「黄楊(ツゲ)」で出来ていました。
これは、古くから使われていたと見られ
発掘される櫛も、「黄楊(ツゲ)」でできています。

万葉集の中でも
「黄楊(ツゲ)の小櫛(オグシ)」と詠われている歌があります。

その歌の一つ
都の役人が、播磨の地に赴任していた時、
その地でなじみになった遊女が詠んだ歌です。

万葉の頃の遊女は
中央の役人を宴席などで接待していました。
その接待は、教養高いものだったようです。
そのため、赴任期間が終了して都に戻る役人には
情が深い別れの歌を詠んでいます。
飛び出さんばかりの黄楊の花

今回の歌も
あなたが、いなかったら
何でわが身の化粧などしましょうか。
「黄楊(ツゲ)の小櫛(オグシ)」も取ろうと思いません。

櫛にかかる哀切の心情があふれる歌になっています。

今、鏡の前には、プラスチックのブラシが置いてあります。
黄楊の櫛を使わなくなってから何年なるのでしょうか。

子どもの頃、鏡の前で櫛で梳いてもらった記憶が甦ります。
櫛で丁寧に梳いてくれた、母親も思い浮かびます。
黄楊の櫛、鏡の前に置いてみたくなりました。

━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
   若葉照り 咲きこぼれるや 黄楊小花(つげおばな)


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| 初夏 | 15:19 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
エゴノキは「いちし(壱師)」でしょうか?
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

路の辺の いちし(壱師)の花の いちじろく

        人皆知りぬ 我が恋妻は (万葉集)

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今回のテーマは、いちし(壱師)。
香りを放つエゴの花

「いちし(壱師)」は、
万葉集の歌に詠まれています。

万葉集では、
「いちし(壱師)」は一度出てきます

聞きなれない言葉です。
万葉の頃の呼称は、
今の植物には見当たりません。

ですから「いちし(壱師)」については、
現代のこの植物を指すという
定説がありません。


植物学者の牧野富太郎博士は、
「いちし(壱師)」について著書の中で

甲の人はそれを「ぎしぎし」だと云い
乙の人はそれを「めはじきのヤクモソウ」だと云い
丙の人はそれを「イチゴ」だと云い、
丁の人はそれを「クサイチゴ」だと云い、
戌の人はそれを「エゴノキ」だと云っている。

そこで博士も一考して
博士は、「曼珠沙華」一名「ヒガンバナ」という説を提唱しています。

一方、植物文学の松田修氏は「エゴノキ」と捉えています。

今回の歌は
私があの女(ひと)を、恋しているということは
路の辺の「いちし(壱師)」の花のようなものです。
世間では誰でも知っていることなのですと詠っています。

これらの植物を考える時、
ギシギシは、花の色が違います。
ヤクモソウなどは路の辺に生えていないでしょう。
イチゴや、クサイチゴなどは、
古名の「イチビ」からの由来ですから、この歌には合いません。

牧野富太郎博士の「ヒガンバナ」も
万葉の時代に、
ヒガンバナが、人が愛でていたのかどうか疑問です。

下を向いて咲くエゴの花

そう考えると
古代からの生息する「エゴノキ」

恋する人をなぞらえる花には
下に向いて咲く「エゴノキ」の白い花が似合うと思いますがいかがでしょうか。
この歌の「いちし(壱師)」には「エゴノキ」という説がいいように思います。

しかし、「エゴノキ」というのも一説にすぎません。
他の植物が考えられるかもしれません。
万葉の歌から、
その植物を思いめぐらしていくというのも面白いものです。

「エゴノキ」は、例年ならば梅雨に入る前に
白い花がいっぱいに木々を覆います。

暖かかった今年は、花の開花が早くなっているようです。
花も実も下向きにぶらさがって咲きます。

満開になった後のエゴノキの下の地面に
白い花が、はらはらと落ちてくるのも美しい光景です。
土に咲くエゴの花

木々も今は花の季節です。
散歩の足を少し遠くにのばして
林の辺りの木々の花を眺めてみませんか。


 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
  風に舞い  田の面(も)に落ちる  えごの花


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| 初夏 | 14:45 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
躑躅(ツツジ)の咲く山間
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


山越えて 遠津(とおつ)の浜の 石(いわ)つつじ

  わが来るまでに  含(ふふ)みてあり待て (万葉集)
 
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今回のテーマは、躑躅(つつじ)。
ツツジというと、生垣などに使われる身近な花です。

躑躅(つつじ)と難しい字を書きますが
万葉の頃は、都追慈、管士、管仕、管自と使われていたようです。

ミツバツツジ、
レンゲツツジの開花と共に、春が訪れます。

そして、山ツツジの開花から始まり
関東では、オオムラサキなどが、今は満開を迎えています。

ツツジは、花の形が筒の形をしているところからの名前です。

満開のツツジ

万葉の歌には、ツツジ登場しますから
古代からツツジは日本に自生していました。

このツツジは、新芽が展開する前か、新芽と同時に開花します。
同じ種類のサツキは、新芽が伸びた後に開花します。
ですから、サツキの花の時期は遅くなります。

ツツジは栽培しやすく
日本の気候風土にもあったせいでしょうか
現代では、ツツジの種類は豊富にあり、
花の色もそれぞれの種類があり
その花が咲きだすと、それぞれの花の織りなす
ハーモニーは見ごたえあるものです。

万葉人が、詠んだツツジは
ほとんどが、自然に生えているヤマツツジがだったようです。

群馬県の館林のつつじ公園には、樹齢800年を迎えるツツジがあります。
このツツジもヤマツツジの種類です。

樹齢800年のヤマツツジ

今回の万葉の歌も
岩かげにさくツツジに
「私が、帰ってくる日までつぼみのままで待っていておくれ」と詠った歌です。

男性が、岩かげのツツジのつぼみを娘に譬えて
他の男性になびくことなく、おとめのまま待っていておくれと願った歌です。

岩かげの可憐なツツジが思い浮かびます。


 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


     分け入りて 花鮮やかに 山躑躅


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| 初夏 | 14:56 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |


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