野花や草木の散歩道で一句

道端の野花、そして草や木。
どこにでも咲いている道端の可憐なお花。
古の歌から生い立ちを辿り、草木たちの古を思い浮かべながら
草花や木々を眺めてみませんか。
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「空木(うつぎ)」は卯(う)の花ともいわれてます。
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

五月山(さつきやま) 卯の花月夜 ほととぎす
 
   聞けども飽かず  また鳴かぬかも
  (万葉集)
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

4月は卯月ともいわれます。
そして、卯の花月とも言います。

卯(う)の花の、匂う垣根に
時鳥(ほととぎす)、早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす、夏は来ぬ

小学唱歌「夏は来ぬ」の歌詞です。

沢山の幹と小枝が重なりあい
白い小花が、隙間なく埋め尽くします。
白い小花が集まって、その枝が絡み合い
昔から生垣に使われてきました。

ふつうは、旧暦の4月、連休の頃に白い花咲かせます。
今年はもう満開となっていますから
ちょっと早めの開花です。

ここで歌われている卯の花は、「空木(うつぎ)」です。

咲きかけの空木

幹が中空になっているので、「空(う)つ木」といわれてます。
この幹は堅い材だったために
木釘は、「空木(うつぎ)」で作られていました。

もっと古い時代には、その材の硬さから発火剤にとしても使われていました。
ウツギの幹を スギやヒノキの皮に当てて、錐もみをします。
しばらくすると、煙が出てきて発火してきます。
そのため、大事な火をおこす、「空木(うつぎ)」は聖なる木ともされています。
今でも、出雲大社や諏訪神社の神事に残っています。

咲き揃った空木今日の歌は
5月のころ、
白い花を多くつけて咲き乱れる
「空木(うつぎ)」。

この「空木(うつぎ)」と
ホトトギスを詠んだ歌が
多くあります。

その中の一首です。

山間に白砂のように
咲く「空木(うつぎ)」が、
映える月夜

ホトトギスの鳴く声が聞こえてきます。
良い声で鳴くホトトギスの声は
聞き飽きない。


もっと鳴かないかなと想っている歌です。
癒される情景が描けます。


この連休には、
こんな、卯の花月夜の中で
思い切り森林浴でもして過ごすのもいいかもしれません。

 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
  卯の花が  たわむれ咲くや  野辺の垣

   
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| 初夏 | 15:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
江戸城と八重山吹
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

七重八重 花は咲けども 山吹の

     みの一つだに なきぞ悲しき  (兼明親王)
 
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 緑の季節の前に、
色々な花が咲き乱れるように咲きだしています。

垣根のそこそこに見える黄色い「ヤマブキ」の花。
この花は、万葉の時代は恋の花だったのです。

黄色の「ヤマブキ」の花から女性を思い浮かべていたようです。
万葉の時代はの「ヤマブキ」は一重だけですが、
源氏物語の「野分けの章」に八重ヤマブキも出てきます。

垣根などによく植えられている「ヤマブキ」です。
植物学的には、中国と日本だけにしかありません。

古来から恋の花「ヤマブキ」ですが、
それ以上に、大田道灌の「ヤマブキ」伝説が知られています。
今回の歌は、「後拾位和歌集」に収められている兼明親王の歌。

日本の首都東京、その前身は江戸、
鷹狩りに出かけた道灌が
突然のにわか雨に遭い、農家で蓑をかりようとした時に
農家の娘から差し出された 折られた一輪の八重ヤマブキ。

八重ヤマブキは、
一重のヤマブキと違って
みのらないのをかけて
娘は、「蓑」がないことを
道灌に暗示したのです。

八重ヤマブキを渡されて、
意味がわからなくて内心立腹の道灌。

農家の娘が貧しくて「蓑」がないことを
歌にかけて奥ゆかしく断ったという事を
家臣から教えられます。



道灌は、無学を恥じて文武に精進をし
立派な武将となり
室町中期に江戸城を築くのです。
大田道灌を一念発起させた
八重ヤマブキともいえます。

そのためか江戸城下にはヤマブキが多く植えられていたそうです。
新宿には「山吹町」という地名もありました。


埼玉県越生町の東部、に山吹伝説の舞台となった「山吹の里」があります。
現在は、歴史公園として整備されています。
山吹の花が約3000本植えられており、
4月中旬〜下旬頃にかけて、今が見頃となっています。

 

━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
  匂いたち 春行く庭に 山吹の花

   

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| | 15:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「梨(ナシ)」は素朴に咲く白い花
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

黄葉(もみじは)の にほひは繁し 然れども

 つまなしの木を 手折(たお)りかざさむ   (万葉集)

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桜の季節も終わり、そろそろ次の季節がやってきます。
暖かな陽光の中、花も次々に咲きだしています。

その中で、素朴に咲く白い花。
今回は「梨(ナシ)」
この「梨(ナシ)」は現在は色々な品種が栽培されています。
減反政策もあったのでしょうが
ナシ栽培農家が多く見られるようになりました。
桜の花には色では負けますが、白くて可憐な花です。

ナシの花は、桜の花の後から開花が始まります。
柔らかな葉の中から、五弁の白い花が咲きます。



楊貴妃の美しさを詠った歌のなかに、「李花一枝春帯雨」とあります。
春雨に濡れるナシの花の美しさを、楊貴妃になぞられています。
昔からきれいな花だったのです。

万葉の歌の中に、この花の可憐さはありません。
万葉の歌の中にはナシを詠んだ歌は、三首ありますが
可憐な梨の花を詠んだ歌はありません。
梨の木を詠んでいます。

ナシの実も今とは違いもっと硬かったのでしょうか。
食用というより、むしろ、薬用として使われていたようです
ナシの実を火鉢の中の灰の中に埋め込んで、
ナシの実の果肉が軟らかくなったところで、取り出して布で絞る。
ナシのしぼり汁は、咳止めになりました。
その中でも、百日咳の咳止めとして使われていました。

今回の万葉の歌は
つまの無いことを、ナシになぞらえて表わしています。
「ツマナシ」は、夫がいないかもしれないともとれますし
妻がいないともとれます。

独身の身で、独身の女性と巡り合いたいのでしょうか
それとも独身の男性とめぐり合いたいのでしょうか。
どちらとも解釈できます。
都ではなく、畑が広がる地方でで詠われていた歌なのでしょう。

梨畑には、白い花が咲き揃い始めて
梨棚に、白い花が満開になると
雲がたなびくように見えるのももうすぐです。

 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  
   梨の花 咲きそろひて 花霞

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| | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「しきみ」の黄白色の花、赤い実は猛毒
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

奥山の 樒(しきみ)が花の 名のごとや

    しくしく君に 恋ひわたりなむ(万葉集)
 
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春雲のように空を覆う桜が植えられているお寺に
桜の脇の常緑の木の中に、黄白色の花をつけた木があります。
「しきみ」です。

黄白色の花のしきみ

本来常緑樹の総称は、サカキとされています。
その意味では、
古来では「しきみ」もサカキの一種と考えられていました。

神前に奉げられるサカキは、漢字で榊と書かれるように、
四手(しで)を結わえた玉串として使われています。

いつの頃からか「しきみ」は仏時に使われるようになり
仏事になくてはならない樹木として、
墓地などによく植えられるようになります。

「しきみ」は仏事、サカキは神事にと使い分けられるようになります。

常緑の木の「しきみ」が今、、
黄白色の花をたわわにつけています。

たくさんの花をつけて、
春色の庭に、ほのかな芳香を匂わせています。

たくさんの花からは、、秋になると赤い実が出来ます。
熟した赤い実はが出来るのです。
熟して美味しそうな赤い実ですが、これが猛毒なのです。
子供が、野山を駆け回り
木の実を食べていた頃は
木の実で、命を落としていた子供も多かったのです。

古の時代から、鳥たちはついばみません。
自然の守りごとを忠実に守っています。

関西以西では「しきみ」は、仏前に飾られ、
葬儀には、「しきみ」の供花を門前に飾ります。

この木の葉と樹皮を、乾燥させて
抹香をつくり、線香もつくります。

「しきみ」といえば
万葉の歌では、この歌が必ず出てきます。
可憐なしきみの花

この歌が詠まれたのは
756年11月、大友池主主催の宴会の席での作です。
作者は、兵部省の役人で、大友一族と深く交友がありました。

大友池主は、万葉末期の政権抗争の中で、
翌年757年7月に、橘奈良麿の乱に参画して、投獄されてしまいます。

「しきりに君が恋しい」という、かけことばに
「しきみ」が使われています。
宴会の席で、宴会の主人に何かを誓ったような歌です。

「しきみ」のかけことばに見られるように
この頃はまだ、仏事には使われていなかったのだと思われます。

春、寒さが戻ったとき、
この「しきみ」の黄白色花は、淡雪の風情を漂わせています。

 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   桜雲 つやつや青葉 花しきみ

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