野花や草木の散歩道で一句

道端の野花、そして草や木。
どこにでも咲いている道端の可憐なお花。
古の歌から生い立ちを辿り、草木たちの古を思い浮かべながら
草花や木々を眺めてみませんか。
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「ヤナギ」は、春を告げる木
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

青柳の 枝切り下(おろ)し  斎種(ゆだね)蒔き

   
ゆゆしき君に  恋ひわたるかも (万葉集)
 
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この寒さで、さくらの蕾の開き具合も足踏みしています。
桜の木の上から、そよそよと風に揺ぐ「シダレヤナギ」
若葉の緑がさわやかで
葉先には、可愛い芽が出そろい
軽やかに空を舞っています。

元々湿地に繁茂する木ですが
以前は、街路樹としてあちらこちらで見かけましたが
車の排気ガスのせいなのでしょうか。
もっと丈夫な木々が街路樹として植えられたからでしょうか
街路樹としての「シダレヤナギ」は余り見かけなくなりました。
浅緑のシダレヤナギ

早春からの新芽が公園に爽やかな色どりを醸し出す
公園樹として植えられているようです。

この「シダレヤナギ」は、中国原産の木です。
万葉の頃よりも前に渡来していたようです。

中国では「ヤナギ」は、春を告げる木として
復活、蘇生のシンボルとされていました。
「シダレヤナギ」を、
旅立つ友に、輪にして渡す事で
再会を願ったものです。

中国文化の影響を多く受けていた、古代の日本です。
この「シダレヤナギ」も
渡来してからしばらくは、中国の影響を受けて、
中国と同じように、吉祥の意味を持っていたようです。
芽吹いたシダレヤナギ
今回の万葉の歌にも、
「シダレヤナギ」が
田の神を祀る行為に使われていた事を
詠っている歌です。

苗代の水口に、「シダレヤナギ」を挿して
神に祀っている事がわかります。

「シダレヤナギ」の枝を切って
神に祀って、
神聖な斎種の籾を蒔きます。

その神聖な斎種のような、
恐れ多いあなたに恋つづけていますと、
詠っています。


中国から渡来した「シダレヤナギ」
もともと雌雄異株の木です。
なぜか中国からは、雄株だけの渡来でした。
雄株だけでは実を結びません。

挿し木でも、ほとんど失敗することなく出来ますので
1000年以上もの間、挿し木で増えてます。
長い歴史を持つクローン植物です。
 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
  春風に 芽ばり柳 群れ遊ぶ

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| | 16:22 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
江戸の彼岸に合わせて咲く「エドヒガンサクラ」
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

春雨に 争いかねて 吾がやどの

     桜の花は 咲き始(そ)めにけり    (万葉集)
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

小さな花の江戸彼岸さくら桜の開花が、
早まるとの予報されていましたが、
関東の江戸彼岸さくらは、
暦通りの開花でした。

江戸の彼岸に合わせて
咲くと名付けられた
「エドヒガンサクラ」
名前通りに、
彼岸の中日に見ごろとなりました。

現在、花見の桜と言えば
「ソメイヨシノ」が主流になっています。

桜の開花予報なども
「ソメイヨシノ」の開花が
基準となっています。



「ソメイヨシノ」は、
「オオシマサクラ」と「エドヒガンサクラ」の雑種です。
雑種であることは、1916年にアメリカのウィルソンがつきとめています。
明治以降から全国に広がって100年ほどの桜です。
栽培品種ですから人間が世話をしてあげないと
途絶えていくものだそうです。
世話をする、それ次第では、寿命は延ばせるのだそうです。

我が国の「サクラ」はいつ頃から確認されているのでしょうか。
「サクラ」は、5000年前の縄文時代。
その縄文時代の遺跡から弓が発掘されています。
その弓に巻いて弓を補強してあったのが、桜の樹皮でした。
縄文の時代から、生活の中に「サクラ」があり、利用していたようです。

日本が国家として整いはじめた、万葉の頃は
花と言えば、「サクラ」より「ウメ」を指していたようです。

万葉集の中では、「ウメ」の歌は119首。
それに比べて、「サクラ」は46首です。
その上、「ウメ」の歌は、社交の場で詠われており記録も残されています。
一方「サクラ」は、作者不詳の歌が多いのです。

この時代に咲いていた「サクラ」は
咲く花と葉が同時にでる、「ヤマザクラ」が多かったとみられます。
そのため最初は、庭で愛でる木ではなく
山裾に咲く「サクラ」を眺めて詠ったものだったのでしょう。
「サクラ」の歌は庶民の心にしみいる歌が多く見られます。

そして、平安時代になると
サクラ栽培も進んできて
上層階級の庭にも植えられるようになります。
源氏物語などにも出てくるように
花といえば「サクラ」が愛でられるようになってきます。
「ウメ」と逆転していきます。

「ソメイヨシノ」は「オオシマサクラ」と「エドヒガン」の雑種です。
「オオシマサクラ」は伊豆七島に自生して、花が大型で美しいのが特徴です。
「エドヒガンサクラ」は、本州以南や中国大陸の一部に自生します。
葉のないときに淡紅色の小さめの花が咲きます。
そのために「ウバサクラ」とも言われています。
両者のいいとこどりをしたような「ソメイヨシノ」

「ソメイヨシノ」が開花する前に
「エドヒガンサクラ」が開花します。
満開に近い江戸彼岸さくら

日本の国花としての桜。
桜の開花で、日本中が右往左往。
桜前線に乗って、「サクラ」の追っかけ隊もいます。
栽培品種も多いのが特徴です。

その土地に根ざした品種も多くあります。
今年はどの桜で楽しい花見をしましょうか。

今回の万葉の歌は
暖かくなり「サクラ」を心待ちにしている心情がでている歌です。
「サクラ」を待つ心は万葉の昔も今も変わりないものです。

 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
  見上げれば 薄紅色の  春空也   

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| | 15:35 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
水温む岸辺に、春の七草「セリ(芹子)」
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


春日野の 雪解の沢に 袖たれて


  君が為にと 子芹をそ摘む    (仲 実)
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

春、
春の七草の一つに「セリ(芹子)」があります。

正月の頃はまだ寒く葉もあまりでていませんが
春の陽に変わるようになると
緑も濃くなり水辺に「セリ」の若葉が増えてきます。
この「セリ」は、
摘めども摘めども競い生ずるのでこの名前になったとか。
河原で、芹摘む人を見かけるようになります。

万葉集には、天皇が、春の野に出かけ若菜を摘む歌があります。
万葉の頃は、若菜摘みは春の行事でした。

寒い冬の間、ビタミンCなどが不足がちでした。
不足していた栄養補給を身体が要求していたのではないでしょうか。

春になって、春の大地の活力を見物するだけではなく、
若菜摘みは、人間の身体への栄養補給として
有用な行事だったと思われます。

そんな若菜摘みが、
正月の伝統行事の「春の七草」として
平安の頃から1000年余り続いています。
気象の変化等で、若菜が途絶えないようにしたいものです。

緑が濃くなったセリそんな若菜摘みが、
正月の伝統行事の「春の七草」として
平安の頃から
1000年余り続いています。

気象の変化等で、
若菜が途絶えないようにしたいものです.

春の七草に最初に登場する
「セリ」は水辺に生えています。

「田芹」「根芹」「根白草」とも言われます。

日本原産では、
数少ない野菜の一種です。

古の歌からも、早春に水辺に育った
「セリ」を摘んで
食用にしていた様子がうかがえます。


昨年も報道されていましたが
『ドクゼリ』を摘んで食中毒を起こしています。
間違って摘まないように注意しましょう。


 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  水温み  川辺の緑  根白草
   


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| | 07:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
聖地といわれた「竹の苑」
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


梅の花  散らまく惜しみ 吾が苑の


  竹の林に  うぐひす鳴くも    (阿氏 奥島)
 
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昔からの農家には、梅の木が植えてあります。
屋敷の裏には必ずと言っていいほど竹林があります。
その竹林は、今は、孟宗竹です。
この孟宗竹は、江戸時代の頃、中国から渡来しました。

中国渡来の梅が、庭園に好まれて植えられていたように
竹も庭園には植えられていたようです。

万葉の時代の竹は在来種も多くあり
植えられていたのは「真竹」が多かったようです。

「竹」は、“猛ける”“長ける”ともいわれたように
竹の成長は、目をみはるものがあります。
そんな成長の早さから、竹を男性に見立てていました。

特に竹林は、中国の「竹林の七賢人」でもしられていますが
一種の聖地とされていたようです。

万葉集の歌の中でも
「さす竹」は、大宮・大宮人・皇子などの枕詞になってもいます。

竹の中の、内部の空間を子宮になぞらえて
竹の精霊として、かぐや姫が登場します。

中国では、竹の精霊が福の神だと言われて
竹の中から、福の神が出てきたという物語もあります。
中国では、福の神としての竹を、好んで使っていたようです。

夏至の日に、新しい竹を切って、米を煮て食べる風習もありました。
中国のめでたい時に鳴らす「爆竹」も、竹を燃やして音を立てていました。
今のように火薬は入っていなかったようです。

初春の竹林


万葉の歌には
さき竹
竹葉
竹垣
竹玉
など、
竹の種類ではなく
竹を身近な生活道具として
いろいろ詠まれています。

それだけ竹は
生活に密着していたのだと
いうことが忍ばれます。




今回の万葉の歌は
天平二年(730年)、太宰にて大伴旅人が新春の宴会を催したときの賀歌です。
梅の花に竹、そして鶯と
春の自然の中で
くりひろげられる情景を詠っています。


 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  竹林の 小さき葉先に 春陽差し
   


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| | 15:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
魔よけの呪力を持つ「桃(モモ)」
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弥生、3日はひな祭りです。

ひな祭りは、桃の節句とも言われています。
「桃(モモ)」は、中国の原産の植物です。

中国では、魔よけの木として代表する木です。
嫁ぐ日、娘は「桃(モモ)」にたとえられていました。
春に咲く桃の明るさに、思いを託したのでしょうか。

陽春に咲く桃

日本でも、「桃(モモ)」が古事記の国生み神話の中で登場します。
やはり、魔よけの呪力を持つものとして出てきます。

イザナギノ神とイザナミノ神が高天原から
葦原中津国(地上世界)に降りたちます。
そして二神は結婚して結ばれ、
その子として、大八島国を産み、
多くの神を生んだイザナミノ神が、火の神を生んだのが元で亡くなります。

夫のイザナギノ神はどうしても会いたいと、黄泉の国に出かけます。
黄泉の国の入り口で、イザナミノ神の名を呼ぶと
生きた姿で、入り口に現れます。

「もう一度一緒に、残っている国造りをしよう。帰ってきてほしい」と
イザナギノ神は頼みます。
それを聞いて、イザナミノ神は答えます。
「もう少し早く迎えに来てほしかったのです。
もう黄泉の国の食物を口にしてしまいました。」と答えます。

それでも夫の熱心さに、
「黄泉の国の神に、戻れるようにお願いしてみましょう。」
そして、「戻ってくるまでは決して中を、私の姿を見ないで下さい。」
と言い残して、奥に入っていきます。

待ちくたびれたイザナギノ神は、
左の髪に挿していた、櫛の歯を一本折って火をつけてしまいます。
そして、少しづつ光を頼りに中に入ってしまいます。

そこで見たのは、腐ってウジ虫が這いまわる妻の屍の姿です。
イザナギノ神は仰天して逃げ出します。

その後ろから、「約束を破って私に恥をかかせたんですね!」と言い放つと
黄泉(ヨモ)つ醜女(シコメ)を使って、追いかけさせます。

髪にかざしていた蔓草を投げつけると美味しそうなエビカヅラになり
それを醜女(シコメ)が美味しそうに食べる。
それがなくなると、また追いかけてくる。
そこで、櫛の歯をとって投げると、筍(タカムナ)となって地に生える。
それを醜女(シコメ)が美味しそうに食べ続けはじめる。

もう大丈夫かとイザナギノ神は後ろを見ると
雷神が多くの鬼を伴って追いかけてくる。
その鬼たちを、剣で振り払いながら、
黄泉の国との境の黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)に、ようやくたどり着きます。

そこでふと見ると、一本の桃の木が生えていました。
桃の実を3個取って、鬼の軍勢に投げつけると
鬼たちは、あわてふためいて逃げ失せていきました。

イザナギノ神は、桃の木に感謝して
「日本の人たちが困っていたらいつも助けてくれ」と
“オオカムズミノミコト”という神名を与えるのです。

「桃(モモ)」は、このように魔除けの木、霊力を持つ木とされていたようです。

登呂遺跡では、モモの種が出土していますから
弥生時代には、入ってきていたようです。

奈良時代以前の「桃(モモ)」は
日本の在来種の「ヤマモモ」を指していました。
中国からきた「桃(モモ)」は、「毛モモ」といって区別していたようです。

ですから万葉集でも「毛桃」として詠まれている歌もあります。
その「桃(モモ)」が、平安時代になると反転して
中国からの「毛モモ」が「桃(モモ)」と呼ばれるようになり
日本在来種が、「ヤマモモ」と呼ばれるようになります。

桃の節句の起源も、中国にあり
「桃(モモ)」は陽気のシンボルであり
陰気のシンボルの鬼を祓うのだとも言われています。

こういったことから考えると
鬼ヶ島退治をするのが「桃太郎」という話も
こういった考え方から作られているのだいわれています。

冬を祓い陽春をもたらす「桃(モモ)」
陰を打ち勝つ陽。
春を迎える桃の節句。
中国から渡来し、
日本でも女の子の健やかな成長を願う祭りになってきたのです。
三日のひな祭り、桃の花を飾ってお祝いしましょう。

万葉の歌は、
うすくれないに咲く、花の美しい桃。
花の下の美しい少女。
陽春の春が感じられます。

━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


春の苑(その)  くれなゐ匂ふ  桃の花

  下照る道に  出(い)で立つ少女(おとめ) (大伴 家持)

 
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


    雛壇に 桃の香りと 春陽射し  
   

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