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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
花のさく 心もしらず 春の野に
はらはらつめる ははこもちゐそ (和泉 式部)
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如月もあと少しで、弥生三月です。
弥生三月は雛の節句で始まります。
地上の草花は、ここのところの冷え込みで
まだまだ大きく育っていません。
まだ、若芽がでているといったところでしょうか。
畑の真ん中にも
春の七草の三番目、「ゴギョウ(五行)」
「ハハコグサ」の若芽が出始めました。
古では、この「ハハコグサ」が草餅の材料でした。
牧野富太郎博士によると
「ハハコグサ」という名前は、
『文徳実録』という書物の著者が、いい加減な作り話を書いたので
「ハハコグサ」という名前が生じてしまったそうです。
その『文徳実録』は
文徳天皇の代、嘉祥3年(850年)から天安2年(858年)までの
8年間の歴史書です。
その昔の著者などは、特定できないと思われます。
博士は、そんな名前はそれ以前にはなかったと、
ですから平安時代以前は、「ホウコグサ」でした。
「ホウコグサ」の他に、古名は「オギョウ」
春の七草の三番目の「ゴギョウ(五行)」も
本来は「オギョウ(御行)」が正しいのだそうです。
その他に、
「トウコ」「モチバナ」「モチブツ」「コウジブツ」「モチヨモギ」
「ネバリグサ」「モチクサ」と色々な名前で、呼ばれています。
三月の雛の節句には、草餅を作ります。
現在では、ヨモギを入れて草餅を作りますが
古では、田や畑の畦などで摘んだ「ホウコグサ」を
充分に乾燥させたものを使って、草餅にしていたようです。
今のお米と違って、米に粘りがないために
「ホウコグサ」の葉にびっしりある綿毛がモチとしての
繋ぎの役目をしていました。
草餅にするために採取できる量は「ホウコグサ」では僅かでしかないために
同じように綿毛のあるヨモギが、草餅に使われるようになってきたようです。
「ホウコグサ」が色々な呼び名があるのは
各地で草餅の材として使われてきた名残でもあります。
現在のお米は、草に頼らなくても粘りもしっかりありますので
草の香りを楽しむのが目的になっています。
草餅の材料としてもすっかり忘れ去られてしまった「ホウコグサ」ですが
地方によっては、今でも作られているようです。
機会があったら、
ヨモギではない、「ホウコグサ」の草餅食べてみたいものです。
食用植物でなくり、すっかり道ばたの草の「ハハコグサ」。
「ハハコグサ」と、言われるようになって、もう、千年以上が経ちます。
本来と違って名前は一人歩きして、現代名は「ハハコグサ」です。
中古三十六歌仙の一人、和泉 式部の歌も「ハハコグサ」です。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
春めくも 凍てつく地より 母子草
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
わが園に 梅の花散る ひさかたの
天(あま)より雪の 流れくるかも (大伴旅人)
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「梅(ウメ)」が咲き始めると春の訪れを感じます。
暖かさに、梅の蕾もふくらんで開花の早さを増しています。
梅が日本に渡来したのは、奈良時代以前のようです。
この梅は、遣隋使や遣唐使などが持ち帰ったとされています。
この梅は、漢方薬の「烏梅(ウバイ)」として渡来しました。
古代の梅は白梅が、ほとんどだったようです。
白梅は、香りもよく、寒いうちから咲く「梅(ウメ)」は、
当時、気品のある花として人の心を捉えたのでしょう。
そして、日本人好みのする花だったのか、
多くの歌に詠まれ、人々に愛でられました。
この梅の花を詠んだ歌は、万葉集には119首の歌に詠まれています。
ちなみにさくらを詠んだ歌は、40首です。
梅の歌は、萩に次いで多く、桜の花の3倍はあります。
奈良時代の歌人、大伴旅人は、
太宰帥として九州に赴き、
当時、筑前守だった、山上憶良と共に作歌に励みます。
今回の万葉の歌は、
旅人が、九州の官人を集めて、観梅を行い
その宴の席で詠んだ歌です。
我が庭に、白梅の花が散っていく。
天上から、雪が降り流れくる
太宰府の長官として、
誇り溢れ、気品を感じられる歌です。
時を経て平安時代、
太宰府に左遷された菅原道真の歌とは
対照的でもあります。
旅人の時代では
紅梅が詠まれた歌は一首です。
紅梅は、平安時代になってから
中国からもたらされます。
菅原道真の歌は、紅梅を詠んでいるのでしょう。
暖かな日差しを受けて
春告げ花と言われる梅を観に出かけませんか。。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
風ふきて 蕾を開く 春告げ花
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
古(いにしえ)の 人の植ゑけむ スギが枝(え)に
霞(かすみ)たなびく 春は来(き)ぬらし (万葉集)
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立春が過ぎたこの時期からは
花粉が飛び交う時期にもなります。
この花粉、新春に「スギ」の
花粉が飛び交い始め、
次々と、
他の植物の花粉が飛びます。
これからの季節、
花粉症の方を悩ませるようになります。
年初一番に、
花粉を飛ばす木としての方が
焼きついてしまった「スギ」
この「スギ」、
人に敬遠される木の印象の方が
強くなってしまいました。
日本古来からある木の一種です。
植林されて、他の国でも多く見られます。
「スギ」の名は、幹がまっすぐのびるという
「直(すぐ)」という意から来ていると言われています。
古名は「マキ」とも言います。
もともと丈夫な木で、寿命も長い木です。
屋久島の「縄文杉」の樹齢は数千年。
島の風土に合ったために
長い間その土地で樹齢を重ねています。
約5メートルの直径を持つ、巨大木です。
長命な栄える木としての「スギ」に
古代人は、霊威を感じていました。
神木として、神社の境内などにも植えられています。
植林もされ、
「北山杉」「秋田杉」「屋久杉」など
その地名での呼び方もされています。
古来から人の生活の中で、「スギ」はなくてはならない、
主要樹木の一つとして広い用途で使われています。
昔は、あらゆる建材として使われていました。
秋田杉などの曲物等の日用雑貨にも使われています。
昭和の頃の一般家庭の風呂桶にも使われていました。
現在でも酒樽の材としても使われています。
葉は、線香の材料になります。
そして、樹皮は屋根を葺く材でした。
日本の木造家屋には、なくてはならない「スギ」です。
早春の今頃花が咲き、そして花粉が飛び始めます。
今日の万葉の歌は
生活に欠かせない木として、
古から、山に杉の木を植えていた
情景がよみとれます。
立ち並ぶ,杉の梢を仰ぎ見ながら
霞がたなびいているの見て
春を感じている様子を
詠っています。
なんだか今よりも
杉の木や檜は
人々の周りには
多く植えてあったようです。
早春の花を愛でながら、
鼻をクシュクシュかんでいた人もいたのではないでしょうか。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
乱伐の 幼き杉が 花をつけ
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今日は都のみぞ思ひやらるる、
小家の門の 端出之縄(しりくめなは)、ナヨシの頭、ヒヒラギ等
いかにぞと 言いあへなる (紀 貫之)
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豆まきやりますか。
子供の頃は、いり豆なども家庭で炒ってました。
練炭火鉢に焙烙乗せてゆすらせます。
手が止まると、焦げた匂いがしてきて
よく怒られたものです。
今の炒り豆は食べやすいですが
家庭で炒ったものはものは、硬いものでした。
その硬い豆、自分の年の数ともう一つ食べました。
節分の豆まきは、
もともと、鬼を退散させる追儺の儀式です。
中国の風習に倣い
宮中で12月晦日に行われていた厄払いの行事が起源といわれています。
追儺の儀式では、鰯の頭と柊を飾る原型がありました。
地方によっては、「焼嗅し(やきかがし)」といって
魚の頭の他に、葱やラッキョウやニンニクなどの
匂いのあるものを挿したり
髪の毛を焼いたりする地方もあります。
イワシも生のイワシではなく
目刺しの頭を飾ります。
節分の時だけ、目刺しが食卓にのる家庭も多いのではないでしょうか。
その、伝習が今では、
旧暦の大晦日にあたる節分に残っています。
鬼が人を食いに訪れるを防ぐのに
ヒイラギの葉の突起部分で、鬼の目をつき追い払ったという伝説もあります。
ヒイラギは、昔から邪気や悪霊を追い払うようにつかわれてきました。
古事記の時代に遡りますと、
日本武尊が東征をする時、
父、景行天皇から授かったのが、
比々羅木之(ヒヒラギノ)八尋矛(ヤヒロホコ)です。
ヒイラギは古来から
邪気や悪霊をはらうことに
使われていたようです。
紀貫之の「土佐日記」の元日の記述には
高知から、遠く都に思いを寄せて
京の都の風習を懐かしんでいます。
今回は、歌ではなく日記の抜粋です。
ヒイラギに挿した
「ナヨシ」というのは、
ボラとかコノシロのことです。
現在はイワシの頭になっていますが、
古来から、
ヒイラギと魚の頭を
飾っていた情景が浮かびます。
私たちの生活の中で、長い間続いてきた伝習です。
いつまでも続けていきたいものです。
節分には、豆を蒔いて邪気をはらい
新しい春を迎えましょう。
旧暦では、新年です。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
目刺し挿し 庭に豆まき 鳥を呼ぶ
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