時々行く、里山に朝早く散歩に出かけました。
今年は、雷が多く、
夕方には雨が降りますので
暑い中にも、緑の色が
濃いように感じました。
ふと頭をもたげると、
クヌギの花が
開きかけてます。
古代では、クヌギの実は「ツルバミ・橡」と言われました。
現在では、クヌギの実はどんぐりといわれていますが
古名は、「ツルバミ」です。
このツルバミは、いつの頃から日本のこの地に立っていたのでしょうか。
縄文の頃には、ドングリを食用にしていたらしいですから
もう何千年もの間、生えているのです。
古代ではこのツルバミの木は、ヒトの生活にはなくてはならない木でした。
ツルバミのカサは、ツルバミ染。
万葉の頃は、染料として使われていました。
林の中で集めれば相当な量が取れたのでしょう。
身分の低い人の、衣服は
ツルバミで染めたものでした。
このツルバミ染めの色は
濃いねずみ色です。
平安時代になると、
喪服に使われたそうです。
樹皮は、薬用として使われ、
木材は、焼かれて炭となり、燃料として使われていました。
見事なほど無駄なく、ヒトと共生してきたツルバミです。
栽培もしやすかったことも要因かもしれません。
現在でも、クヌギやコナラの木はシイタケ栽培の台木として使われています。
冬に落ちる枯葉は、良い腐葉土になります。
この「クヌギ」は、
国中が愛する木という意味で「国木」とつけられ、
それが「クヌギ」と言われるようになったようです。
里山の保存運動の声があちこちで聞かれます。
里山を保存するには、その里山の木々を材料に
今まで以上に、私たちの生活に使っていく。
そして、又育てていくという、
サイクルが出来てくればいいのになと思います。
今回は、大伴家持の歌です。
きれいな紅色はすぐに褪せてしまう。
地味な色の着ふるした衣には、及ぶはずがないと詠っています。
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今日の短歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
紅(くれない)は 移ろふものそ 橡(つるばみ)の
馴れにし衣に なほしかめやも (大伴家持)
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今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
光さす 木の葉の影に 橡(つるばみ)花
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