菅(スゲ)
スゲといえばどこにでも生えている草、
草むらの草取りでは、一番先に抜かれてしまう草です。
こんなスゲ…
さかのぼってみると
昔から生えていました。
種類もたくさんあります。
右の写真はクサスゲです。
シバスゲ
シラスゲ
ジュズスゲ…
林や、
山道などに生えている
常緑のスゲもあります。
左の写真は、
ヒメカンスゲです。
私たちが、
何気なく踏んでいる草
汗を流しながら、
草取りしている草の中には
たくさんの種類のスゲが
交っているかもしれません。
このスゲたちは
稲作がまだなかった頃から
周り中に生えていたのでしょう。
草の中で
ススキなどのイネ科の野草は、茅(カヤ)と呼ばれています。
カヤは日向の乾燥した草原に生えていたようです。
スゲは、寒くて湿った土地に生えていたようです。
古代では区別などはせずに、生活の場面で使い分けていました。
生活する住居には、主にカヤが使われカヤ葺きにして住んでました。
カヤよりも葉の繊維が細くてたわむスゲは、
笠や蓑を作っていました。
その他に、菅枕、菅畳などの言葉も見られますから
スゲを使って、いろいろな生活小物を作っていたのに違いありません。
栽培はしてなかったようですが、朝廷用として表札を立てて、
一般の刈り込みを禁じていたという歌も万葉集にはあります。
日常生活に欠かせないカヤとスゲは大事な植物だったのです。
大和の耳成山を 青菅山(アオスゲヤマ)と形容している歌もあり、
山全体が、カヤやスゲが茂っている青葉の山を思い起こさせます。
しかし、
畳の材料はイグサが
枕は、箱枕などが使われるようになると
菅枕や菅畳など、
スゲを使ったものは祭祀だけのものになっていきます。
早乙女たちが田植え祭りにかぶる、
スゲ笠などは今でも使われています。
古代では重宝されたスゲやカヤは、
今では、草刈りされるだけの植物です。
なんとか、利用できないかとも思いますがいかがでしょう?
━━━ 今日の短歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
橋立の 倉橋川の 河のしづ菅
我が刈りて 笠に編まなく 川のしづ菅(万葉集)
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
薄暑なる 青葉の下に 菅そよぐ
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