薄紫の花から芳しい香りが漂うと、連休の予定をめぐらすようになります。
日毎に、花穂の長さが伸びています。
万葉集にも20首余り藤の花が詠まれています。
源氏物語の藤壺以降は、文学の世界には無数にとり入れられています。
古来から人に愛されてきた花の一つなのでしょう。
藤の花の神話は古事記にも見られます。
韓国にも同じような話があるようです。
中国の神話では、
藤の蔓から人間を誕生させる話があります。
あまりめでたくないものとして語られています。
それは天地のはじめの時、泥をこねて人間を作っていました。
しかしなかなか人間が増えないので、
山に分け入り藤の蔓を取ってきて、
その蔓を泥水の中でかきまわし、
振り回してたたきつけると、
泥水の雫がたくさんあちこちに飛び散る。
その雫から人間が生まれた。
たたきつけてたくさんの人間が出現したが、
泥人形からの人間は金持ちで、
藤蔓の雫からの人間は貧乏人と伝えられています。
そして藤蔓の繊維で作った衣は、
丈夫であるがゆえに庶民の衣類になっていたそうです。
ちなみに絹は上流の人たちが着用しました。
日本の藤は
平安貴族の藤原氏はもともとの姓は
中臣[ナカトミ]氏を名乗っていました。
大化の改新の功労者の中臣鎌足は藤の花を特に好んでいたことから、
天智天皇から「藤原姓」を賜ったという説もあります。
日本では、皇室の「菊」と並んで
藤原氏の「藤」は高貴の花となってます。
遠き古からこの季節、
香りをふりまきながら、咲き続けてきた藤の花。
藤棚から垂れ下がる花は今が見頃です。
紫の雲とぞ見ゆる藤の花 いかなる宿のしるしなるらん(藤原公任)
花香る 春日に垂れる 藤の花
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