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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
真中の 小さき黄色の さかずきに
甘き香もれる 水仙の花 (木下 利玄)
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師走の声を聴くようになると
濃い緑の葉の間から
小さな白い水仙の蕾が大きくなります。
その香気を放ちながら蕾が咲きだすと、師走ももう半ばです。
日本的な「水仙(すいせん)」の花ですが
「万葉集」や「源氏物語」などには、その名前すらありません。
ようやく文献に登場するのは、室町時代です。
この水仙のふる里は、地中海沿岸です。
地中海沿岸には、水仙の原種が自生しているところがみられます。
この水仙は、ギリシャ神話の世界に登場します。
美少年ナルキッソスは
池の水面に映った自分の姿に恋い焦がれてしまいます。
呼びかけますが、答えてはくれない。
その姿を引き寄せようとして池に身を投じてしまいます。
するとそこに一輪の水仙の花が咲いたという神話の一説。
水仙の属名Narcissusはナルキッソスに由来しています。
生まれ変わった水仙の花。
水仙はシルクロードを伝来していって中国へ
中国では、水中で姿を変えられるのは仙人です。
ナルキッソスに由来するような
“仙人の花”として「水仙」と言われます。
そして、日本の文献にはじめて出てくるのが
室町時代の“下学集”です。
漢名「水仙」、
和名を「雪中華」とあります。
1467年正月に
将軍、足利義政の大遊宴の際
東国から、水仙がが献上され
その美しさが鑑賞されたとあります。
室町時代の頃には、
水仙もあちらこちらで栽培されていたのかもしれません。
今では
淡路島の灘水仙郷は、平家の落人が植えたという伝承もあります。
福井の越前海岸の斜面を埋め尽くす「越前水仙」などが
故郷をに似た住処を見つけて
自生地のように咲き続けている群生地が海岸沿いに多く見られます。
凍てつく地面から、緑の葉が天に伸び
早春の息吹を醸し出すように咲く清楚な水仙の花です。
しかし、その花の中に冷めた美しさも感じられます。
淡路島の灘水仙郷は
紀淡海峡を見下ろす斜面に水仙の群落があります。
海を見下ろして咲く水仙に
地元の人たちは
黄色い副花冠が盃に似ているので
「ちょこスイセン」と呼んでいるそうです。
今回の歌も
清楚に咲く水仙の黄色い副花冠を盃に見立て
香気を放つ水仙の花を詠っています。
新年を迎える花として
床の間などに飾る家も多いと思います。
気品ある花の香りは、新しい年の息吹を感じさせます。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
水仙花 花の香りも 風に揺れ
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人でも、花でもその生い立ちには
さまざまなストーリーがあります。
少しずつ知っていきたいと思って書いてます。
読んでいただけてうれしいです。
これからもよろしくお願いします。
今回の「水仙物語」大変興味深く読ませて頂きました。
時に、自宅裏に咲いております花々、そして実家の庭に
ひそやかに咲いていました花達にその様な「歴史秘話」
があったとは・・・。
これを機会に「この花々」を観る眼が変わりました♪