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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
珠(たま)に貫(ぬ)く 楝(あふち)を家に 植ゑたらば
山ホトトギス 離(か)れず来(こ)むかも (万葉集)
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緑の木々の中に、
薄紫色をした小さな花を多数つけて風に揺れています。。
枝の先の小さな花は、優雅に咲いています。
万葉の頃の古名は、“楝(あふち)”。
高木に育つ、“楝(あふち)”をみて
清少納言は、
木は好まないけれども
花には、趣があると記しています。
この、薄紫色の花は愛されていたようです。
“楝(あふち)”とは、
花が藤に似て上向きに咲くところから
“仰藤(あふぐふじ)”や“淡藤(あわふじ)”と言われたところから
現在では、
「栴檀(せんだん)」と呼ばれています。
この沢山の花が沢山の実となり
晩秋には、黄熟して木の根元に散らばります。
この実を乾燥させたものは、
漢方薬として使われていました。
“栴檀は双葉より芳し”と言われますが
この木ではなく“白檀(びゃくだん)”のことです。
“白檀(びゃくだん)”は、熱帯アジアの香木です。
日本では育たないようです。
この「栴檀(せんだん)」、
暖かい海岸地方に育っています。
そして、道の辻や、丘の上などに植えられていました。
根元には、地蔵もまつられています。
この木は魔よけとしても使われていて
5月5日の端午の節句に
菖蒲や蓬と共に薬玉にして飾っていました。
今回の歌は
薬玉に使う“楝(あふち)”を庭に植えたなら
その花を慕って、ほととぎすが
絶えず飛んで来てくれるだろうかと詠っています。
大きな「栴檀(せんだん)」の木、
鳥も好む木だったのでしょうか。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
見上げれば 栴檀の花 咲きこぼれ
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━
うす紅の なかにひと花 白妙の
匂いあまれる 芍薬の花 (大田 水穂)
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「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」
この言葉は、美人を形容する言葉です。
今では影が薄くなった言葉になっています。
今回は、見事に咲く「芍薬(シャクヤク)」の花。
中国や北欧原産の宿根草。
古来、薬用として渡来しました。
この根を乾燥させたものを
鎮痙薬、鎮痛薬として使っていました。
“エビスグサ”といわれていました。
勺とはけいれんを伴う病気をいいます。
多分てんかんの発作を伴う病気です。
あのシーザーもその病に悩まされていたのでしょうか。
ギリシャでもシャクヤクの仲間が栽培されて使われてました。
鎌倉時代以降は、和名よりも
漢名を「芍薬(シャクヤク)」と音読みで呼ばれています。
薬草として栽培されていましたが
この花の美しさから
江戸時代には、鑑賞用の栽培が盛んになります。
多くの品種が、書物に記載されるようになります。
中国でも最初に栽培された花として伝えられています。
「芍薬(シャクヤク)」はボタンの姉妹花。
牡丹は百花王といわれ
「芍薬(シャクヤク)」は宰相の異名を持ちます。
「芍薬(シャクヤク)」も牡丹も、華麗な存在感のある花で
似ていると言われますが
「芍薬(シャクヤク)」は草。
毎年、新しい芽を伸ばして花をつけます。
牡丹は、樹になり横枝を伸ばして花をつけています。
牡丹の花が終わる頃
「芍薬(シャクヤク)」の蕾が大きくなり開花します。
梅雨空に咲き揃う存在感のある花。
大きな「芍薬(シャクヤク)」の花が
咲いている情景をうかがわせる一句です。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
芍薬の 花びら開き 雨模様
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
杜若(かきつばた) 左紀沼(ぬ)の菅を 笠に縫ひ
着む日を待つに 年ぞ経にける (万葉集)
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木陰の風が、蒸し暑さを少し和らげています。
梅雨の時期、雨に濡れて
木々の緑は、ますます鮮やかになっています。
田植えの終わった田んぼのあぜ道に
草が生えています。
その草の勢いは、目を見張るものがあります。
丈のある草というと、
“茅(かや)”と“菅(すげ)”に分けられます。
“茅(かや)”というと主にススキなどのイネ科の野草の総称です。
“菅(すげ)”は、カヤツリグサ科の野草の総称です。
日本では、昔から“菅(すげ)”が多く生えていたのでしょう。
そんな“すげ”や“やますげ”を詠んだ歌が
万葉集に多く見られます。
古来から刈っても刈っても
めげずに生える草たち。
古来では、そんな“菅(すげ)”を
摘んできて編んで、笠や蓑ばかりではなく
“菅枕(すげまくら)”や“菅畳(すげたたみ)”として
生活の中に使われていたようです。
又、仁徳天皇の八田の若郎女を一本菅の歌にも見られるように
“菅(すげ)”を女性になぞられた歌が多く見られます。
風にそよぎ、たおやかになびく姿から
女性を連想したのでしょうか。
今回の歌も
沼に生える“菅(すげ)”で笠を作っていた様子がわかるだけでなく
“菅(すげ)”を女性に見立てて
彼女と一緒になる日を夢見ていたのに
歳をとってしまったと詠っています。
道端や河川で、多く生えている“菅草”。
今の生活の中で、使えないものでしょうか。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雨降りて すげ草茂り 道狭む
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
紫は こまやかなれや 日はたけて
草生にまじる うつぼ草の花 (藤沢古実)
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梅雨入りして蒸し暑い日が続いています。
ちょっと足を延ばして林を歩くと
円柱形の花穂に、紫色の唇型花の花が咲きだしています。
草の間から、大きな花穂が出て
風に揺れる紫色の花が、
少し蒸し暑さを和らげてくれるようです。
この花穂が、弓矢を入れる“うつぼ”に似ていることから
「靫草(うつぼくさ)」と呼ばれています。
一段に6つの唇型花が下から咲きだし
だんだん上に咲き揃い
10段位の花が咲き揃う時もあるようです。
子どもの頃は、
道端の草むらの中にも、咲いていましたが
今では、ちょっと足を延ばさないと見つけられません。
草むらの草丈よりちょっと背が高く
紫色の小さな花が集まる「靫草(うつぼくさ)」。
冬至の頃に芽を出して、花が咲きおわり
夏になると花穂が立ったまま枯れてくるところから
「夏枯草(かこそう)」とも呼ばれています。
その枯れて茶色くなった花穂は、摘み取られ
漢方として、利尿剤などに用いられ重用されてきました。
小さな若苗を採って
ゴマ和え、辛子和え、油いため、揚げものなどの
食用にもされていました。
今回の歌は、
紫のやさしく咲いている「靫草(うつぼくさ)」の花、
そのうちに、草にまじって「夏枯草(かこそう)」と
呼ばれる様子が詠われています。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
梅雨晴れ間 夏草と競う うつぼ草
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どくだみや 真昼の闇に 白十字 (茅舎)
名前を聞いただけで眉をひそめられる「どくだみ」。
雑草として、庭にあると一番に引き抜かれます。
住宅地の中でも
木の下など日当たりの良くないところに群生しています。
木の根元の薄暗がりの中に咲く「どくだみ」は
白い十字型の苞を開き
その中央に、雄しべと雌しべだけの穂を立てます。
純白な花びらではなく、苞の上が花になるのです。
純白の十字の苞の上に伸びる「どくだみ」は
爽やかさも可憐さも感じさせます。
そして、一度根づくと
季節になると、どこからともなく生えてきます。
繁殖力は旺盛で、絶やすのは大変な労力を必要とします。
“デカノイルアセトアルデヒド”という成分です。
この成分は、白癬菌やブドウ球菌なども目をまわすそうです。
しかし、この成分は、乾燥させると臭いはなくなります。
乾燥させると、臭いはなくなります。
胃腸を丈夫にしたり、高血圧の予防になったりします。
生の「どくだみ」の葉なども昔から虫刺されなどに使われてきました。
毒消しや解熱、動脈硬化予防、など多くの薬効があります。
その為に、「どくだみ」の別名は“十薬”とされています。
おひたしにしたり天ぷらなど、
熱を加えても臭いはなくなります。
臭い故に敬遠されがちですが
うっとうしい梅雨の頃に
木の根元に群生する、純白十字の「どくだみ」は可憐さがあります。
そんな情景を好む人も増えているようです。
梅雨の頃に咲く「どくだみ」の趣を現わしています。
どくだみを 避けて紐引く 散歩道
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