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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
寒木瓜の 吾娘にも欲しき つつましさ (関口 たま)
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寒風に揺れている、緋紅色の
「寒木瓜(かんぼけ)」の花。
「木瓜(ぼけ)」はもともと春の花ですが
冬の時期に花を見る為に栽培された「寒木瓜(かんぼけ)」。
その種類は多くあり
鉢植えや切り花としてつかわれています。
又、盆栽にも仕立てられています。
「木瓜(ぼけ)」は、中国から渡来した植物です。
“木瓜(モッカ)”から転化したものと言われています。
落葉低木で、
朱、緋紅色、薄桃色、白と
花の色が混じり合い優しい色調が何とも言えません。
春を迎えるこの時期に、
緋紅色、薄桃色、白などの色が混じり合い咲きます。
庭木としても人気があります。
花が終わった後には、
球形のりんごに似た果実をつけます。
果実酒などにすると、疲労回復に効くとか。
寒さの情景のなかで
寒さゆえなのか
花弁が大きく開かずに抱えるような咲き方をします。
その為、「寒木瓜(かんぼけ)」は、
鮮やかな中にも
つつましさを感じさせるような花です。
今回の歌は、
寒さの中に咲く「寒木瓜(かんぼけ)」の花を見ながら
娘を想う親心を詠っています。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雨もなく 寒木瓜の花 色乾き
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
八つ手咲き いくさきざきの この寒さ (加藤 かけい)
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緑の大きな葉の上に可憐な花がついている「八手(やつで)
小さな白い花が集まり丸くなって、
先の方から、次々と咲きだしてます。
この前読んだ本に
この「八手(やつで)」の花の面白いのは
先ず、おしべと花びらと未成熟のめしべがあるオス花の時期、
そして、おしべと花びらが落ちて中性の時期。
その後、めしべが成熟したメス花の時期を過ごすとの事。
そうする事によって、
同じ花からの受粉を避けているのだそうです。
垣根越しに咲いている「八手(やつで)」の花の時期を
観察するのも面白そうです。
天狗が手に持っているような葉の「八手(やつで)」
大きく育った葉を見ると
八つに分かれているのではなく
実際は、七裂から九裂の方が多く見つかります。
小さい葉は、三裂や五裂で
栄養が良い葉は、十一裂や十三裂までになります。
いずれにしても、奇数に分かれます
数字を使う場合、
“八”の数字の方が縁起が良いということで
「八手(やつで)」と言う名前になったと考えられます。
ちょっと観葉植物を思わせる「八手(やつで)」は
熱帯地方の産地を想像させますが、
日本固有の植物なのだそうです。
いつの頃から、どの様に進化してきたのかよくわかりません。
江戸時代の頃も
園芸品種としての認識はあまりなかったようです。
魔よけの意味もあり、
よく、玄関先に植えられています。
葉芯から出た梢に丸く咲く「八手(やつで)」の花。
この花が咲くと冬の到来を思わせます。
「八手(やつで)」の花が咲きだすと
寒さも厳しくなっていく様子を詠っています。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
塀越しに 背比べのよう 花八つ手
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葉蘭にたまる 日脚のみじかさ (尾山篤二郎)
常緑の緑を楽しむ「葉蘭(はらん)」。
「葉蘭(はらん)」と名付けられたユリ科の植物です。
常緑の葉は薄くて硬くてつやがあり幅広です。
長さも50cmを越える大きなものです。
最初は、観葉植物として鑑賞されていました。
大きな葉のために、花をいけるための練習になっいますので
お稽古初めのための花材に、使われています。
包丁で形つくられた、「葉蘭(はらん)」は
料理を一層、引き立てています。
“バラン”が使われているようです。
「葉蘭(はらん)」が使われていたのは主に関西で、
関東は“笹”が使われていたようです。
幅広の「葉蘭(はらん)」で、おにぎりなども包んでいたようです。
紫がかったつぼ型の花を咲かせます。
割合根づきやすいこの「葉蘭(はらん)」は
密生して、日陰でもよく育ちます。
庭の片隅で、冬でも緑の葉を揺らせてる光景がよく見られます。
庭に群生する常緑の「葉蘭(はらん)」を詠っています。
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
つくばひや 斑入り柾の 咲きこぼれ (圭 岳)
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ここのところ、目につくのは、木々の赤い実。
葉が落ちた木につく赤い実が多い中で
つやつやとした常緑の葉の中から、
実が割れて朱赤の種が顔を出している「柾(まさき)」。
子供の頃の家並みは
ブロック塀などはあまり見られませんでした。
緑の生け垣が多くありました。
この「柾(まさき)」も生け垣に多く使われていました。
常緑のつやつやとした葉の生け垣で
家々は、区切られていました。
若葉が濃くなる頃の葉を
くるくる丸めて、先をちょっと潰して
思いきり吹くと、可愛い笛になります。
学校の行き帰りに、
葉っぱをちぎっては、
この笛を吹きあっていました。
この頃は、ブロック塀の家が増えて
あまり、「柾(まさき)」の生け垣が見られなくなりました。
梅雨時に発生する病気なども関係しているようです。
この「柾(まさき)」は、
梅雨時に白くて小さな花を咲かせます。
生け垣として見ていた頃は、
剪定時期もあったのでしょうが
花も実も種もあまり見た記憶はありません。
大人になってから
この実を見つけた時は、感激たものです。
時々、見かけると
つい葉っぱをつまんでしまいます。
今回の歌は、
庭先の手水鉢の傍らに、
つややかな斑入りの柾の葉。
紅い実の中から顔を出す、朱赤の種。
趣のある情景を詠っています。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
冬の朝 寒さに踊る 柾の実
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━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
大和路へ 冬入り来たり この朝け
寺にありて見る 庭の万両(木下 利玄)
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紅葉の葉も舞い落ちると
冬の陽に照らされる木々の中に
紅い実が目につきます。
その中でも
寒くなると、その珊瑚色の色味を一層増す
「万両(まんりょう)」
縁起物として、正月に飾られます。
紅い実がつくものとしては
“せんりょう”の「千両」もありますが、
他のものより下向きの紅い実が
多くついたからでしょうか?
「万両(まんりょう)」です。
この中で、紅い実の彩度が高い「千両」だけは
“せんりょう科”に属し、科目が違います。
同じやぶこうじ科の“やぶこうじ”や“からたちばな”は、
万葉集にも詠われています。
この「万両(まんりょう)」の存在が
庶民にも知られるようになったのは
江戸後期から明治時代になってからのようです。
今では、実を食べた鳥の糞からも増えると云われて
林の中でも、多く見られます。
しかし、いつの頃から「万両(まんりょう)」と認識されたのか
はっきり分かってはいないようです。
古代に見られる“やぶこうじ”や“からたちばな”が
いつの頃からか、交配したのかもしれませんが…
江戸時代になると文献にもみられます。
武士世界の江戸時代には、
“万量”や“まん竜”などとでてきます。
武士の世界では、
あからさまな金銭の名前は避けられていたのかもしれません。
その他に、江戸時代では
“あかき”とも呼ばれていました。
珊瑚の実が、冬の庭を彩る「万両(まんりょう)」。
今では、実を食べた鳥の糞からも増えると云われて
林の中でも、多く見られます。
明治時代になってから、品種改良も多く進んで
今では、多くの品種が栽培されています。
今回の歌は、
冬に入り寒さも増してきた
早朝の寺の庭に咲く、
下垂した、深みをました紅色の実が
冬庭に彩りをましている情景が詠われています。
これから、寒さに向い
冬枯れの中で、紅い実が彩りを添えてくれるようになるでしょう。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
薄日さす 万両の紅 影長く
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