野花や草木の散歩道で一句

道端の野花、そして草や木。
どこにでも咲いている道端の可憐なお花。
古の歌から生い立ちを辿り、草木たちの古を思い浮かべながら
草花や木々を眺めてみませんか。
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日本原産の山茶花の花
JUGEMテーマ:野花と草木を詠う


 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



   冬に入る  庭かげにして  山茶花の



     花動かして いる小鳥あり (中村憲吉)



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枯葉が舞う中で、緑の葉が艶やかな木。
生け垣では、「さざんか(山茶花)」の花が開いています。
寒風に咲く山茶花

寒さに向うこの時期に、開花する「さざんか(山茶花)」。
日本の初冬を彩る花です。
日増しに寒くなる中で、開花していくこの花には、
きれいに咲に揃うなかに、
静かさと共に侘しさも感じられます。



漢名では、“山茶花”は椿を指すのに
「さざんか(山茶花)」として当てられています。
漢名では、“茶梅”が正しいようです。
どこかで違ってきたようです。



古名では、“かたし”や“ひめかたし”と云われています。



九州などでは、
「さざんか(山茶花)」の材質が堅いことから
炭として焼かれ、使われていました。



果実の種子からは、油がとれました。
粘着性がないことから
刀剣や刃物の防銹剤として使われていました。



冬に向けて開花する「さざんか(山茶花)」は“椿”の花に似ています。



“椿”との違いは、
冬咲きであることや、
花も、葉も小さめのところです。



その為、“姫椿”という名もあります。



又、小枝や葉に、細毛があり、
花びらが、ばらばらに散ります。



「さざんか(山茶花)」は日本原産の花でありながら
江戸時代以前には、記録がないようです。
いつの時代から、栽培されていたのかわかりません。



見た目にもよく似ている“椿”と
区別されない時代もあったのかもしれません。



“椿”の花より遅れて
江戸時代中期には
「さざんか(山茶花)」の品種も増え
園芸品種として栽培されるようになります。

朝陽に映える山茶花

今では、「さざんか(山茶花)」には、多くの品種があります。
花の咲き方も、一重、八重、などがあり
色も、薄紅から紅、濃紅、そして白と多彩になっています。



今回の歌は、
影が長くなった初冬の庭。
「さざんか(山茶花)」の花の下に飛んできた小鳥の
かすかに揺れる音に、初冬の静かさが感じられます。



 



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



   冬の陽に 庭の山茶花 花ふえて



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| 初冬 | 00:40 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「苔(こけ)」のむすまでと詠った歌
JUGEMテーマ:野花と草木を詠う

 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 わがきみは 千世にやちよに さゞれ石の


 いはほととなりて  こけのむすまで(古今集)



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公園を歩いていると
頭上から舞い降りる葉。


ちょっと日陰になっていている
植え込みに落ちる紅葉。
そこでは、苔が少しずつ地面を覆ってきています。

木の根元の苔

「苔(こけ)」というのは、
「木(こ)の毛」という意味で
木や石になどに着床します。


古くは、古事記にある
須佐之男命が退治した八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の身も
「苔」が生えていたと出てきます。


「苔」は物の古びたことや
長い年代を表しています。
その長い時間が、静寂を連想させています。


「苔」というのは
そのままの状態が、長く続くと苔むしてきます。


「苔むす」という言葉に
詠み人知らずのこの歌が頭に浮かびます。


“さゞれ石”というのは、島根の出雲大社にあるそうです。
小さな石がたくさん集まっている、小さな石がさざれ石。


わが君はいつまでも永く、
千年も八千年もの長い間、
このさざれ石が集まって固まり巌になり
そしてそこにコケが生ずるほど長きに渡って続きますように
という賀歌です。


当時の天皇に贈られた祝い歌になっています。


詠み人知らずということで
解釈もそれぞれ違ってきていますが
それゆえ、親しまれ歌われてきたのも事実のようです。
江戸時代には、結婚式にも歌われていたようです。


明治政府が、この歌を国歌にしたのは
イギリス海軍の要請に急遽応じたためなど諸説はあります。


ただ、歌としては
小さな岩が大きな岩となって
そこに横糸も縦糸もなく生じる厚みのある「苔(こけ)」の美しさと
壮大な時間の流れを感じさせる歌です。


古今集で編纂された
もっともっと古からの伝承歌とも思える歌です。



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
  初時雨  這う青苔に  舞い散る葉 



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| 初冬 | 16:24 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
時じくの香の木の実とみかん
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田道間守が苦労して手に入た橘の実

 ━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 橘は 実さへ花さへ その葉さへ


   枝に霜降れど  いや常葉の樹 (聖武天皇)
 

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今年のミカンは、台風被害に遭わなかったので豊作と聞いています。
庭木のミカンもたわわになっています。
みかんの色もいい色しています。

実をつけたみかんみかんと言われる柑橘類は
いつ頃から食べられていたのでしょうか。

中国では紀元前1000年前後、
周の国の「詩経」に
「柚(ユズ)」の記述があります。

日本では、
古くは、記紀に田道間守(タジマモリ)の
“橘”導入伝説があります。


病気静養の垂仁天皇が
田道間守を常世の国に遣わして

「時じくの香の木の実」(ときじくのかくのこのみ)と
呼ばれる物が年中実っており、
それを食べると延命長寿の効果がある。
不老不死の力を持ったその
霊薬を採りに行かせたという話です。



田道間守が持ってきた「時じくの香の木の実」と言われた橘の実は
古事記の本文では「是今橘也」(これ今の橘なり)とされていますが、
実際にそれが橘そのものであるかどうかは明らかではありません。

更に、西暦297年、中国の陳寿が書いた「魏志倭人伝」には
日本では「はじかみ、橘、胡麻、茗荷が自生しているのにその滋味を知らず」
つまり、食に用いることを知らないと書かれいます。

皮が薄い、こうじみかん

では、田道間守が苦労して手に入た橘の実はどんなものだったのでしょう。

・日本の原生であるとされている橘、
・紀州蜜柑といわれる中国原産の小ミカン、
・漢方薬にも使うダイダイ、
といろいろな説があります。
百済などの交流や
遣隋使、遣唐使などが、持ち帰ってきたことは想像できます。
それらは、食用というより、薬用として使われていたようです。

聖武天皇の歌に、橘を詠んだ歌。
葛城王佐為王が臣籍に下り、
橘諸兄と「橘」姓を受けた宴席で詠まれた歌です。

タチバナが、冬にも常緑を保ち
生命の根源である太陽のような黄色い実をつける様から
めでたい瑞木とみていたようです。
薬用効果があり、瑞木として栽培されていたのかもしれません。

この橘は勲章のデザインとしても使われています。
当初は、サクラの花のデザインが考えられたのですが、
昭和天皇が「桜は散るところに価値があるが、文化は永遠であるべき」との意向で
常緑樹の橘によるデザインになったと言われています。

古名は、柑橘類を総称してタチバナと呼んでいます。
その栽培の歴史は
みかんの接ぎ木の突然変異とする説もありますが
ただその経緯は明らかになってません。

紀州ミカンとして、人々に親しまれるようになったのは
江戸時代になってからのようです。
当時江戸で高騰していたミカンを紀州から運搬したのは
江戸時代の豪商である紀伊国屋文左衛門です。
これらの事業の成功で富を得たことでも有名です。
明治以降は、品種改良が進んで
ミカンの種類も多くなり、甘味も増して美味しくなっています。

年の瀬も近くなり
炬燵の上のミカンはなくてはならないものです。
ビタミンCを摂って、風邪をひかないようにしましょう。

━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
   実を揺らす 橘の木に 鳥が舞う 
   

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| 初冬 | 17:56 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
つつましくうつむきながら咲く、「茶(チャ)」の花
JUGEMテーマ:野花と草木を詠う

生活になくてはならない、「茶(チャ)」の花。

━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 茶の花は 開きつくさで こぼれけり
 
      日かげの庭の 上は凍てつつ
(若山 牧水)


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例年であれば、花を落としている「茶(チャ)」の花。
今年は暖かな日が続いたせいか
葉の緑に映えて、つつましくうつむきながら白い花が咲いています。
以前は、垣根にも多く使われていた「チャ」の木。
低木で、ツバキ科に属しています。

うつむき咲く花

この「チャ」は中国が原産です。
古代の中国では、
茶の葉を蒸した後、モチ上につき固めた団茶でした。
飲むには、火であぶり
砕いて粉にした後、
ネギやショウガやかんきつ類の皮を加えていました。

唐の陸羽(リクウ)は茶道の祖とされています。
「茶径」は、三巻十章からなる茶の経典です。
そこには、茶の歴史、栽培、製法、茶器、茶の立て方、喫茶法などを
集大成したものです。

日本には、いつ頃入ってきたのでしょうか。
はっきりとはしませんが、遣隋使、遣唐使が
中国での風習に触れ、
持ち帰ったことは充分に予想がつきます。

「東大寺要録」によると、
僧行基が、天平年間(729年〜749年)に
諸国に、49の堂舎建てて、「チャ」を植えたとのこと。

弘仁6年(815年)に嵯峨天皇が、
諸国に「チャ」を植えたという記録もあります。

全国からの献上品が記述してある
「延喜式」(927年)には、茶かごはありますが
「チャ」の記述はありません。
一般的には、栽培はしてなかったのかもしれません。


凍てつく風に揺れる花その後、1191年に
臨済宗の開祖・栄西禅師が
宋から、種子を持ち帰り
九州の平戸や、
佐賀県の脊振山などで栽培しました。
現在に伝わる「チャ」はこの頃からです。

その種子を明恵上人が、
京に持ってきて根づかせました。
その後、
宇治で栽培されるようになります。



栄西禅師は、「喫茶養生記」を著しています。
宋で発展していた、抹茶をひろめています。
更に、源実朝にも勧めたことにより、武家社会にも浸透したのです。
これらのことにより、日本の茶道の礎を築きました。

江戸時代初期までは贅沢品であったお茶も
茶の栽培が進んで、普及していきます。
江戸時代後期には、庶民もお茶を飲むようになりました。

茶葉は、同じ様なものでも
製造法は、蒸して揉んだり、発酵のやり方で
日本茶、紅茶、中国茶など、
お茶の種類は、バリエーションが豊富になっています。
毎日の生活に、なくてはならないお茶です。

毎日飲んでいるお茶の花は、晩秋から咲いています。

今回は、万葉の歌ではなく
明治の時代、早稲田大学で「早稲田の三水」と呼ばれた若山牧水の歌です。


━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
   木陰の茶  師走の寒気  白き花 
   


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| 初冬 | 15:42 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
マユミ(檀)で作った弓
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古代では、マユミ(檀)で作った弓が最高の弓でした。

━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 南淵(みなぶち)の 細川山に 立つ真弓


      弓束(ゆづか)まくまで 人に知らえじ  (万葉集)


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気温が冷えて、色づいた葉。
その紅葉も風に舞いはじめています。
紅葉が散り始めると
色づいた木々の実が目立ってきます。

ヤマニシキギと別名がある「マユミ(檀)」。
ニシキギの葉に似た紅葉は素晴らしいものがあります。

その紅葉が散り始めると
ひそかに淡紅色の果実が熟して裂けて
真っ赤な種が覗き出てきます。
この可愛い種は、冬の鳥を呼んできます。


マユミはその名の通り
この材で、弓を作りました。

弓としては、「マ弓」、「アズサ弓」、「ハジ弓」などがでてきます。
その中の、マ弓は、マユミで作られた弓。

マユミはしなやかで強く最高の弓材だったのです。
その弓を讃える接頭語の「マ」がついて
マユミと呼ばれるようになったといわれています。

万葉集で、マユミを詠んだ歌は
すべて弓に関係する歌です。

この歌は、真弓の木を女性に例えて
意中の女性をすっかり手に入れるまでは
人に知られないようにしようと…

今も昔も、意中の人を射止める苦労が偲ばれます。



━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   
   冬近き 真弓の果割け 小さき朱
   


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| 初冬 | 15:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |


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