━━━ 今日の歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
梨棗(なしなつめ) 黍(きみ)に粟嗣(あわつ)ぎ 延(は)う田葛(くず)の
後も逢はむと 葵(あおひ)花咲く (万葉集)
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大きな木の下に実が落ちていました。
見上げると、たくさんの赤い実がついています。
「ナツメ」の木でした。
「ナツメ」というと
茶道をやってらっしゃる方だと
抹茶を入れておく茶壷を
真っ先に思い浮かべるかもしれません。
壺の形が、「棗(ナツメ)」の実に似ているところから
名付けられた茶壷の方が馴染んでいるかもしれません。
中国原産で漢名を「棗(ナツメ)」。
中国では、重要な果樹として、又薬用として
古くから栽培されていました。
そして、日本に渡来し栽培され
たわわになる実は食料とされたばかりではなく
薬用としても使われ重用されていました。
今でも、薬膳料理などには使われています。
食べ物が豊富になった昨今では、庭先に植えられていても
あまり見向きもされなくなって、実は木の根元に落ちています。
この「棗(ナツメ)」の由来は、
芽が出るのが遅く
夏入ってようやく芽吹くので、“夏芽(ナツメ)”だそう。
今回の歌は、
なしが実り
「棗(ナツメ)」が熟れて
きびやあわがつづいて実るように
続けさまに君に逢っている。
そして、葛の蔓が分かれて地に這いながら逢うように
葵の花が咲くよと
食物が、巧みに並んでいる歌です。
その時代の情景もわかるようです。
━━━ 今日の詠み歌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
棗熟れ 風に葉が揺れ 実をはなす
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